先日の話をちょっと詳しく…。
1ラウンド目は結構な数の獲物が出たのですが、田んぼを突っ切って包囲網を突破されたり、手薄な場所を突破されたりで子イノシシが1頭のみ。

雪辱を果たすべく臨んだ2ラウンド目。
ここも獲物の気配が濃厚です。
私は親父と2人で最終防衛ラインとも言える、大きな山に繋がる待ち場を受け持ちます。
主要な通し(獣道)は2本。
今朝通ったばかりの生々しい足跡がドカドカ付いている獣道と、ほとんど足跡のない茅藪の中を通っている獣道。

(こちらは生々しい足跡がドカドカ付いている獣道)
「どっちか好きな方を選んでいいよ」
親父に言われ、迷うことなく生々しい足跡が付いている通し(獣道)を選択。
通常は普段行ったり来たりして危険がないことが分かっている通し(獣道)を使うことがセオリーです。
「ああ、間違いなくそっちが本命の通し(獣道)だろう。イノシシが来たら80%以上の確率でそっちを通るはずだ、通常だったらな…」
親父が少し含みのある言い方をしてそれぞれが待ち場に付きます。
それぞれが配置に付き、勢子が猟犬を放ち巻狩りのスタート!
私の所属させてもらっているグループのスタイルは、とにかく短時間勝負で決まる効率重視のスタイル。
犬を放って10分程経った頃には「獲物が出たよ!」の連絡。
前方の待ち場から何発かの銃声…。
「1頭倒した! もう1頭はそっちに向かったよ!」
猟銃の安全装置を解除し前方を凝視。
近付いてくる猟犬の鳴き声…。
「さあ来い!」
「ドカンッ!」隣の親父の待ち場から1発の銃声。
「倒した。危なかった…」

「通し(獣道)も何もない場所を突破してきた。2メートルの茅薮からいきなり飛び出してきたから撃ち降ろしたけど、即死じゃなかったら間違いなく捲られて(イノシシに反撃されること)いたな」
弾は右肩口から左わき腹を貫通。
脊髄と肺を破壊して完全に即死。
「肩ロースと左のバラ肉がダメになってしまったな。しょうがない、ケガがなかったから良しとしよう」
このイノシシは犬に追われ、銃で撃ちかけられて半ばパニック状態になり、
逃げの通しとも呼べない茅藪の中の直線距離を逃走したのです。

(この方向には通しはありません)
「だけど僅かだけれど予兆はあったんだ。前方の茅が風もないのに不自然に動いた。緊張感を切らしていたらアウトだったな」
パニックになったり半矢になったイノシシはとにかく恐ろしいものです。
障害物なんか関係なしに突っ走ってくるし、
完全にこと切れるまで抵抗を止めようとしないし、目の前にいる敵は手当たり次第に排除します。
ウチの親父も以前100kg級の巨大イノシシに吹っ飛ばされたことがあって、宙を舞いながら
「ああ、完全に牙で下から刺される角度で吹っ飛ばされた。太腿の内側の動脈を切られた…」
とそれまでの人生の走馬燈が走ったそうです。
ところが酷い全身打撲を負いながらも太腿は切られてはなく、その後撃ち取られたイノシシの実況見分をすると片方の牙が吹き飛んでいました。
どうやら至近距離で親父が撃った弾が偶然にも牙を吹き飛ばして、それが幸いして大ケガを負わずに済んだようですね。
まあその後、その山は「親父さんがやられた山」という不名誉な名前が付きましたが(笑)。
その他にも牙で切られて全身を50針以上縫ったり、骨を噛み砕かれたり、イノシシの反撃にあってケガをした人を挙げると枚挙に暇がありません。
「それにしても待ち受ける場所や角度一つにしても奥が深いものだな…」
自分で撃つことは無かったけれど、今回もとても勉強になりました。
↓イノシシが私の場所に現れても撃ち漏らしていただろうから良かったじゃん!と思われた方はクリックプリーズ(笑)
にほんブログ村
にほんブログ村
- 関連記事
-
スポンサーサイト
↑豚の餌にされるくらいだから猪はもっと凶暴なんだろうね。
体格のいいイノシシを噛み止める猟犬といい、動物は強いですね。
久々にぞーっとしましたよ。
同じく命がけですね。
鳥撃ちのとき、近くで半矢の猪が出てないか無線聞きながらにしようかな…。
怖いなぁ~~
こんなのがこちらにも増えてきたんだぁ~~
あ~~怖いなぁ~~怖いよ~~・・・・・どうしたらいいんだか・・・
おとろしくて・・・イノシシと出会いたくないでしゅ(^_^;)
太い葛の根を噛み千切るくらいだから、人間の指なんて簡単に食い千切られるでしょう…。
時々農業の方がお亡くなりになっているのは、たいてい牙で太腿の内側の動脈を切られての失血死です。
気を付けま~す。
「危ないときは逃げる」のが良いと思いますが、犬が危険な目に遭っていたりした時には…。
お互いにケガなきように気を付けましょうね。
でもイノシシの巻狩りは比較的撃つ距離が近いんですよね。
そこはやっぱり怖いかも…。