「そろそろかな~?」と山へと向かう。
今回の目的は「山菜の女王タラノメ」。
猟期の最中に見切りのために山をウロウロしていた時に、見るのはイノシシや鹿の足跡ばかりではありません。
食い意地の張った私は春になると芽吹く山菜なんかも横目でチラチラと探していたのです(笑)。
お、早い場所ではそろそろ良い感じですね。

芽吹いた一番目を手折って採取。

少年時代、親父について山菜採りに行くと「今の時期のタラノメはここらにある」とか「あそこのウドはそろそろだ」などと道なき道を進むのを見て、「何故こんな人がまったく来ないような場所に山菜が生えていると知っているのだろう?」と不思議に思っていました。

なぁ~んだ、猟期に下見をしていたんだね(笑)。
しかしそれにしても親父は山菜以外の植物の名前をよく知っているので、昔理由を尋ねたことがありました。(私は食べられる植物をほんの少し知っているだけ…。食べられない物にはあまり興味がないんでしょう。笑)
「ああ、オレのおじさんが近隣の植物学の第一人者だったんだ。本業は教員をしていたからアマチュアではあったけどな。植物学者の
牧野富太郎博士とも親交があり、よく四国に出かけたりもしていた。市の博物館からの依頼でたくさんの植物標本を寄贈したりもしていたよ。
そのおじさんと一緒に背負子を背負って山脈を縦走し、籠一杯の山菜を採って来て保存食にしていた。戦後の食糧難の時代でな、当時オレは小学生か中学生だったけど、とにかく何でもいいから腹一杯食べたくて一生懸命に付いて行って色々なことを教えてもらった。
今みたいにインターネットやテレビどころか本ですらもまともに無い時代だったから、身近にそんな人がいて情報が得られるのは本当にありがたかった。」
スーパーにはありとあらゆる食材や加工食品が並び、世界の裏側からも簡単に食べ物を買うことができるこの飽食の時代の若い世代の人達には、そんな時代があったことなんて信じられないことかもしれませんね。
しかしそれはさほど昔のことではなく、確かに存在した事実だったのです。
そしてそんな時代に少年時代を過ごした人間を父親に持ち、成長過程において繰り返し繰り返しそんな話を聞いて育つと私の様な食い意地の張った人間になるのです…(笑)。
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でも、食い意地は生まれ持ったもの?
私は都会で育ちましたが、子供の頃テレビでムツゴロウさんの野生の王国を観てお腹をすかせていました。 他の人は「可愛い~」という観点で見ているのに、自分は「美味しいかな??」という見方でした(笑)
牧野富太郎・・・・・懐かしい名前です。
もう40年近く前、オラが小学校の頃、彼の図鑑やら書物やらを貪っていました。
自然が超豊富だった信州の山の中。学校の先生に引き連れられて野山を歩き回り、草木を採取したり標本をつくりましたね~、そんな時代もあったんだ・・・なんて、思い出させてくれるお名前ですよ。
その方とご親族が交友を持っていたとは・・・羨まし良い限りです。
ちなみに、俺んちの近所では戸川幸雄の直木賞作「高安犬物語」というのがありまして、主人公の子息と親交(鉄砲仲間)があります。
猟犬の話しですが、機会があったら読んでみてください(*^_^*)
家で飼育した鶏が産んだ卵を売って勉強道具を買い、
お正月などでは、同じく飼育したヤギと鶏をさばいてごちそうを作り・・・
なんて話がありますね~
食い意地は…、遺伝でしょうね(笑)。
親父のおじさんのことも「やさしい小学校の校長先生」くらいにしか思っていませんでしたが、業績を知ってビックリしました。
『戸川幸雄動物文学』全集が実家にありましたよ。
「高安犬物語」も読み返してみます♪
今は元旦に出猟しようものなら「何も三が日くらい殺生しなくても…」と言われますね(笑)。
便利で不自由な世の中になりました…。
地面に生える山菜はイノシシや鹿にやられてばかりですね(笑)。
私も震災時はヘドロに埋まった街を通り抜けて山の中へフキノトウを取りに行った記憶があります。
恐怖の中、一日を生きるために全てのエネルギーを使っていました。
ですが不思議と山菜を採っている最中、もしかしたら本当の自由とはこういうことなのだろうか・・・といった気持ちが湧いてきたのを覚えています(笑)
もう、良いサイズになってますね。こちら、山奥では、まだまだ芽が出てきていませんね。採りごろは、例年だとゴールデンウィーク頃ですね。
私は植物には詳しくないので身近にそんな人がいたとは本当にうらやましいです。お父さんの弟子になりたいっかも。(笑)
牧野さんの植物園が高知にあるのですがまだ行ったことがなくて、近いのになかなか行けずじまいです。
そうでしたね、大変な思いをされたのでしたね…。
私なんか遊びで採取しているだけですが、ほんの少し前に同じ日本でもあった出来事ですね…。
こちらでも例年4月の中旬だったのですが、なんだかどんどん早くなっているような気がします。
これから他の山菜も楽しみです♪
おまけに身近にいる人間のありがたみもわからない馬鹿者です。
そこにあるのが当たり前の環境で育つと分かりにくいんですよね~(笑)。