今日はふじ1頭で山入り。

(前回の写真)
更にこの日は射手の参加人数も少なく、勢子役も私一人のみで競る場所も限られるので念入りに見切り。
「う~ん、判断に迷う…」
カセギ(エサを食べた痕跡)は見つからないし、ヌタ場を使ったのも1日遅れという感じ。
しかし沢山の鹿の足跡の上に一つだけ50~60kgほどのイノシシの真新しい足跡を発見。
しっかりと踏みしめられ、間違いなく生足(前の晩に踏みしめた真新しい足跡)です。
その様な場合は、周囲の地面が見えるけもの道を見て判断するのですが、今回は岩や大量の落葉に阻まれてはっきりせず。
イノシシの痕跡を探す際には
1.カセギ(エサを食べた痕跡)
2.ヌタ浴び(お風呂を使った痕跡)
3.生足(真新しい足跡)
の順番に信頼度が高くなります。
やはり腹いっぱいエサを食べた後は満腹になって近くで寝ていますし、お風呂に入った後は遠くまで行っていない感じです。(朝風呂派もいる様です)
それに対して真新しい足跡だけでは、単に通過しただけで遠くまで行って寝ている場合も多々あるのです。
一旦メンバーの皆さんと合流して作戦会議。
かなり冷え込んでどこも獲物の動きが芳しくない感じ。

「じゃ、オレが見た場所を競りましょう!
イノシシがいる確率は50%という感じだけど鹿は足跡がたくさんあったし、見切りの時にピイィという警戒音が何度も聞こえたから、間違いなく群れで入っています。
位置取りを決めて包囲網を張り巡らせ、ふじを放ちます。
すぐに鳴り響く銃声。
「お!始まったな」
更に山の上からはガサゴソと動物の動く気配。
「まだまだ出るよ! 弾の装填をお願いします!!」
待ち役に連絡を入れます。
「ふじはどこだ?」
と思って確認すると、私から鈴の音が聞こえる範囲を捜索中。
銃声が鳴るとモリとカヤは倒した獲物を噛むためにその方向にぶっ飛んで行くことが多いのです。(少し噛むと猟欲が治まる)
しかしふじは時々連絡のために顔を見せては、何かを訴えかけています。
「明らかに鹿を追い出しているのになぜ啼かない?」
不思議に思いながら移動。
次々と鹿を追い出し、山間に銃声が木霊します。
ふじはやはり銃声の方向へ走ることなく、しきりに何かを訴えています。
急斜面でガラガラ石の山だったので滑ったり転んだりとヒーヒー言いながらふじに付いて行くと、そこは最終的に目指していたイノシシの寝屋。
ふじの表情が険しくなり、枯れ竹が倒れ込んだ寝屋に突入!
「いるな…」
何度も寝屋の周囲をうろつき、今にも吠えてイノシシを起こしそうでしたが啼かず。
「おかしい…」
不思議に思って寝屋の側で待機していると、「50キロくらいのイノシシを仕留めた」との連絡が入りました。

ふじの接近に気付いて早抜けしようとしていたイノシシが射手に仕留められました。
65kgのオス。

鼻先に塞がりかけた銃創があり、少し前に私たちの猟隊が半矢で仕留め損なったイノシシでした。

それにしても鹿とイノシシが混在する猟場でふじの猟芸を久しぶりに間近で見ましたが、鹿は追い散らすだけで相手にせず、完全にイノシシだけを獲物として認定していることがとてもよく分かりました。
私が初めてイノシシ猟犬として仕込むふじを育てる時に、先輩の勢子役の皆さんに口を酸っぱくして言われたことがあります。
「いいか、シシ犬に鹿を追わせるなよ。
鹿は山に入っただけでも勝手にピョンピョン駆け回るから、犬が獲物を探して捜索することを覚えない。
それに鹿を追いかける犬になってしまうとイノシシとの駆け引きが雑になって切られるし、怖い思いをしてまでイノシシに向かって行かなくなる。
シシ犬を仕込む時は徹底してイノシシにあてろ」
なのでふじが若犬の時には徹底してイノシシにあてて猟を仕込みました。
それが今もキチンとふじの中で根付いていて、今回も鹿をまったく相手にせずにイノシシの匂いだけを辿って、まっしぐらにイノシシの寝屋まで来たというわけです。
先輩方の経験って凄いな、と改めて思った次第です。
このイノシシも撃ちかけられた経験があるのに、ふじが接近するギリギリまで寝屋に籠って猟犬とハンターをやり過ごそうとしていたのでしょう。
モリとカヤのコンビだったら、鹿に付いて行ってイノシシの寝屋まで辿り着けていなかった可能性が高かったけど、鹿を相手にしないふじだから仕留めることが出来た感じ。
「ふじ、よく頑張った♪」
ふじはちょっと誇らしげな顔をしていました。
この日は他に小イノシシが1頭獲れました。
鹿は相当数が出て何発も射かけたのですが、何頭か当たったけど半矢で走られ仕留められず。
まあ、少ない人数で事故もケガも無く、2頭も仕留めたから上出来です。
それから「ゾロゾロ出て来てどれ撃っていいのか目移りした」とか「鹿も手強くて、きちんとこちらの事を確認して手薄な包囲網の間を抜けられた」とか、本日の失敗談義を面白おかしく話しながら解体作業を行ったのでした。
今日も自然の恵みに感謝です。
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1犬2足3鉄砲、優秀な猟犬はまさに猟隊の宝ですね!
3番目の私は犬の働きに報いるべく、鉄砲の腕を磨きたいと思います。
新しくブログ開設しました(・∀・)
また暇な時にお立ち寄りくださいm(_ _)m
まあしかし、事故もケガも無く皆で楽しくワイワイと狩猟を楽しめることが一番だと思います。
でもやっぱり自分が撃って獲れると喜びもひとしおですよね♪
また寄らせてもらいますね~♪