私の所属する猟隊には二組の親子ハンターがいます。
一組は私、もう一組は親方(若き勢子)の親子です。
銃猟ハンターが絶滅危惧種となるくらい少なくなった現在、二組もの親子ハンターが在籍する猟隊は極めて稀だと思います。
そんな猟隊のある一日の事。
「猟期終盤でイノシシの足(足跡・痕跡)も乏しくなったから、大きな山をかき回して派手に銃声を響かせようか」
ということになりました。
狩猟圧を感じた山中の獣達は、罠師や通常の銃猟ハンター達が攻めないような高い山に居込んで、危険を回避している場合が多いです。
そこで猟犬を使って高い山の中を蹴散らし、膠着状態を打破して攻めやすい麓の山へと再度追いやるのです。
勢子役が猟犬を放ち、大きく張った包囲網へと獲物を追い立てます。

(左カヤさん、右モリさん)
リードを解き放つと、喜んで山を駆け上っていきます。
そしてすぐに犬の追い啼き。
「この啼きは軽くて走り去る速度が速い。鹿だな…」
谷間に木霊する銃声。
「ごめん、逃げられた~」
と私の親父の声。
「オレもワンコも急斜面を這うようにして汗だくになって追っているんだ。頼むよ、親父~!!」

(写真はカヤ。モリもカヤも時々連絡に顔を見せに来ます)
更に銃声は木霊し続け、まるで戦場のような有様。
「ごめん、逃げられた~」
と親方(若き勢子)の親父さんの声。
「頼むよ、親父~!!」
親方(若き勢子)の声。
私も親方(若き勢子)も自分の親父には「頼むよ~」という連絡を飛ばしますが、他のメンバーに言う事はありません。
逆に「撃ったら状況が変わる。安全が確認できたらドンドン撃って!」と発破をかけます。
勢子役が包囲網を張る待ち役(狙撃手)まで競って終了。
所々に獲物の血の痕跡。

半矢で何頭か逃げられた感じ。
そしてなんとなく嫌な予感はしていました。
銃声の数の割には「倒したよ~!」とか「止めたよ~!」という連絡を全く聞いていなかったからです。
結局30発以上の発砲数でしたが、授かった獲物は猟犬が噛み止めた子イノシシ1頭のみ…。

「勝負は時の運。獲物を授かるのも時の運、不運がある」
という結果。
鹿は50頭以上目視確認され、イノシシも最低3頭は出たようです。
皆での発砲数は30発を超えました。
貴重な子イノシシをお持ち帰り。
「あそこで鹿が20頭以上抜けて行った」
「ここで8発撃ったけれど全部外れた」
「ガクッと膝が落ちるのを見たからあたっていることは間違いない」
などと話しながら解体作業。
皆で「酷い結果だな」と思いつつ、しかしまあ笑い話にできる雰囲気ってとても重要な事なんです。
撃っても倒せないことを責められると、射手としてもプレッシャーになり益々あたらなくなります。
そして更に現場の状況説明に関してウソをついたり、獲物を確認せず撃って人身事故(俗にいうガサドン事故)の原因になります。
趣味で狩猟を楽しんでいるのに、そんな事になったらどうなるかは想像に難くありません。
何よりも好きでやっている狩猟が楽しくなくなりますしね。
ちっ、次回はリベンジだっ!!
今日も自然の恵みに感謝です。
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親子ならではの良さや、そうでない事もあるのでしょうね。
でも、お父様からしたらこんなに嬉しいことは無いと思います。
無線のやり取りも面白いですね。
羨ましいな♪
中々当たるもんじゃないですね。
僕より先に配置についてたベテランさん二人、
まだ銃袋からさえ出して無かったって。
(≧∀≦)
でも娘さんの方が狩猟に目覚めちゃったりして。
あと何年かしたら、家族で猟隊が組めるなんて羨ましすぎます♪
私は迷わず「美味そう」なヤツを一番に狙います。ブレません!!
でもハズレるんですよね~。
銃カバーを外していない時に獲物が出て来るのもあるあるですね~♪