狩猟を始める前からも、狩猟を始めてからも
「猪犬(シシイヌ)は切られてから真価を問われる」
という事を度々耳にしました。
イノシシを追跡する本能を強く持つ猟犬であっても、牙で切られて一度痛い思いをすると、怖気付いてイノシシを追わなくなったり、イノシシの匂いがすると故意に避けるようになる猟犬がいるのです。
まあ無理もありませんよね…。
自分の何倍も大きな体の上、刃物のような鋭い牙(絶えず上下の牙を擦り合わせて研いでいるので本当に切れる)を持っていますし、一度でも切られたら逃げ出したくなる猟犬の気持ちも充分理解できます。
今猟期が始まってすぐに
イノシシから切られたカヤの場合はどうだったかと言うとですね…。
ダメでした…。
私がっ!!ザックリ切られて肉が見え、血が滴るカヤの背中を見ると血の気が引きました。
カヤもモリも何度か受傷したので初めての経験ではなかったのですが、今回は傷も大きく、少し牙が入る場所がずれていたら致命傷に成り得る場所でした。
正直な話、私が怖気づいてしまったのです。
動物病院へ向かう車の中で、同行してくれたメンバーの方と無線交信をしながら、
「うっ、うっ、オレにとってワンコは子供みたいなものだから…」
途中で涙が出て話せなくなってしまいました。
(ブログには書いていませんが、所属する猟隊や知合いのハンターさんの犬が受傷した話は枚挙に暇がありません)
あ、ちなみにカヤはヤル気満々です!
少しでも軽トラを動かすと
「山へ連れていけ~!リベンジじゃ~っ!!」と煩いくらいです。

(手前よりモリさん、カヤさん、ふじさん。カヤは縫った時にバリカンで刈った毛がだいぶん生え揃いました)
「どうしよう…」
そんなことを悶々と考えながら、山へ行けない日々が続きました。
犬を山へ連れて行かずに大物猟へ行くことや、鳥撃ち猟に専念することも考えましたが、イノシシ犬を飼って体が動く限りは犬と一緒に山へ行って大物猟をしたい!
(それに超高齢化が進む狩猟界において若手が育っていない現状もあるので、狩猟技術を次の世代へ引き継がねばならないという使命感のようなものもあります)
そしてカヤの治療のために行った動物病院の獣医さんに聞かれました。
「防刃ベストは着せてないのかい?ベストのおかげで最近は本当に致命傷を負う猟犬が少なくなったよ」
「それは猟犬を飼っているハンターさん自体が激減しているからでは?」とも思いますが、正直防刃ベスト着用には疑問を持っていたのです。
まず暑さで犬がバテやすいこと。
そして猟犬が獲物と対峙した時に、防刃ベストや取付べルトなどが木の枝などに引っ掛かって自由を奪われ、そのことが理由で逆に深い傷を負う懸念。
それに首や胴体を覆うだけの物でもあるので、内臓や下半身は剥き出しのままです。
(今回のケガも部位的に防げていたかは分かりません)
「でもなぁ、何もしないよりマシだよなぁ」
そんなことを考えていると、自分が学生時代にやっていたモトクロスで骨折した時のことを思い出します。
マシンが振られ転倒。同時に体が宙を舞い、バイクの上に胸から落下。
ハンドルで強打し、肋骨2本骨折。
体を守る「ブレストガード」という鎧のようなプロテクターを売っていたのですが、なにせ貧乏学生だったので最低限の安全装備でレースに出ていたのです。
痛みで寝られぬ夜を過ごしながら「バイト代が入ったら絶対ブレストガード買う!」と思ったものです。
「そうだな、金で買える安全は買っておこう!」
防刃ベスト購入を決意し、色々と調べて購入したものがこちら。
AEGハンターズショップのスペクトラガードベスト。
警察官が使う防刃素材で出来た猟犬用ベストで、刃物のようなイノシシの牙から頸動脈から肺や心臓などをカバーできる仕様になっています。
(サイトにサイズの目安が書いていますが、試着品を送ってもらって実際に装着サイズを確認することを強くお勧めいたします)
まずは装着訓練。
装着して庭に放しても問題なく歩けるくらいには慣らしておきましょう。
背中の部分にマジックテープが付いていて、更にベルトで固定するようになっています。
ベストの装着自体はそんなに大変なものではありません。
「カチーンっ!!」
しかし最初は装着しても固まってしまいました。

(写真はふじさん)
「アハハ!笑っちゃいけないけど面白い。まあ、最初はしょうがないよね」
今は毎日少しずつ装着して慣れさせている最中です。

少し慣れたら山へ行き、すぐに「これを着たら山に行けるんだ」と喜ぶようになると思います。
さあ、これを着てまた山をバリバリ走ろうな!!
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軟弱ハンターです。(^_^;)
以前お会いした、岐阜でのセミナーで
防刃ベストのカタログはもらってはきてましたが、
その当時はまだサイズがカールには合わなかったような記憶があります。
やはりちゃんと合わなければいけませんね。
3着…お疲れ様っす!(≧∇≦)
家も買いましたよ!いろいろと調べたらスペクトラが動きの制限が少なそうで、脇が擦れないようだったので決めました!
三匹分ですか!家は二匹分買いました、おこずかいから半年ローンで嫁から借りました。これで少しでも怪我が減ればいいですね。
僕も福岡県で猟犬を使った猪猟をしていて、過去二度、5針ほど縫うケガをさせられました。
そういったことから、防刃ベストの購入を考えていたのですが
二度ともケツで、防刃ベストの意味がないし、高価でもあるし購入をためらっていましたが
お金で解決できるのであればと、検討をしていた最中でもありました。
もしよろしければ、犬の体重とベストのサイズ、猟での使用感なども教えていただければと思います。
もうホントに鼻血出ました(笑)!
でも精神衛生上良かったと思います♪
もう熱が出そうです!
でも「ああ、あの時ベストを買っていたら…」と後悔したくなかったのです。
我が家の犬は22kg~23kgくらいで胸囲はガッチリしています。
測定するとサイトの表示サイズの目安よりもかなり胸囲があったと思います。
なのでショップに相談して「Ⅿサイズ」の試着品を送っていただいて購入しました。
「マジックテープで止める部分にも幅がありますし、生地自体も伸び縮みします」という回答をいただきました。
発情が来て山へはまだ連れて行っていませんが、庭散歩では慣れました。慣れると気にならない感じで動いています。
暑い時期は熱中症の危険がありそうですが、寒い時期は大丈夫そうです。
確かに防刃ベストは万能ではないです。
けれど少しでも致命傷の危険を減らせるならばと思って購入しました。
ふーちゃんが何時受傷するかと心配で。
山屋の合言葉は「金で買える安全はすべて買え」です。
とはいっても、お財布とご相談なのは何処も同じですね。
山でもダイビングでも、私の場合は痛い目に遭って「念のために」「お守り代わり」と安全装備を買うと、それ以降、件の装備が無用になってしまうという悲しい運命を辿ります。
安全装備を買うことで「危険に対する意識が研ぎ澄まされる」のでしょうか?
それはそれで目的を達してるんで良いんですが、なんか悲しい・・・
ふーちゃんたちもそうであってくれると嬉しいんですが。
本当に命にかかわる場合も多いと思います。
お金じゃ命買えませんもんね。
まだベストを着せて出猟していませんが、私の精神衛生的に良かったと思います。
それに猪猟犬の場合、ベスト着せた方が治療費よりも安くなる場合が多いですもんね。
ちょうどウチと同じ体重、体型で参考になります。
山でも変わらない動きが出来たらいいですね。
これで少しでもケガが避けられると良いのですが…。
少しだけ精神的に楽になりましたよ。