「退屈しない程度にアジが釣れてるよ。来る?」
と、漁師をしている兄貴から連絡。
「行く行くっ!」
二つ返事で誘いに乗ります。
「とにかく海の上は暑いからな。飲み物たっぷり用意して熱中症対策はしっかりとな!
気温が上がると魚も死ぬし、早めに釣って早めに上がろう」
夜中に家を出て車を走らせ、明け方には船の上。
まずは漁協に寄り、船底にたっぷりと氷を積み込みます。

船の生け簀に入れて水温を冷やさないと、すぐに魚が死んでしまうからです。
そして釣り場へ向かいます。

「いいね~。やっぱり海の上は気持ちいい」
いつもならば心の底から解放感が溢れるところですが、実は今回の釣行は特別な想いがありました。
兄貴から事前に聞いていた話です。
「ただでさえ魚が少なくなって釣れずに厳しい状況だったのに、新型コロナの影響で料亭や居酒屋が閉店して魚価が大暴落している。出漁してどんなに魚を釣っても、燃料代や餌代で赤字続きだ…。
一本釣りでは食っていけないから辞めざるを得ない。この船も売ることになる。大きな船は維持費だけでも大変だからな。
だからアジ釣りはおそらく今回が最後だ」
「そうかぁ…」
こんなところにもコロナ禍が…。
ポイントに着いて仕掛けを投入し、コマセを撒いてアタリを待ちます。
リールというよりも「ウインチ」とか「クレーン」なんていう言葉が浮かんでくる、工業製品のようなゴツイ電動リール(兄貴の職業道具)。

「お前にも何度も世話になったなぁ」
すぐにアタリがあり、35センチを超えるような大型のアジが上がってきます。

これはチカメキントキ。

自分自身では初めて釣りましたが、なんだか凄いフォルムです。
タカバ(マハタ)なんかも上がってきます。

今日は真鯛狙いじゃないけれど真鯛♪

「新型コロナウイルスは人の命を奪うだけじゃなく、やる気のある人間からやりたい仕事も奪ってしまうなんてなぁ…。
本当に言葉がないよ。
でも、それでも人間は生きていかなといけないもんな…」
やり切れない気持ちになりながら、最後のアジ釣りの贐(はなむけ)か、コンスタントに何かしらの魚が釣れ続けます。
「いるだけ持って帰りな。どうせ二束三文にしかならないし、喜んで食べてくれる人に持って帰ってほしいから…」
魚体に触れないように釣り上げたアジは、一本一本丁寧に神経締めを行い、氷でしっかりと冷やしてクーラーへ。

他の魚や氷の重さで身割れしないように最上部に保管。

(この上から更に氷を詰めます)
一般的にスーパーなどで売っているアジは巻き網で獲られたものなので、網の下部にいた魚は圧死した状態で身が潰れていることが多いのです。
持ち帰ってシンクに入れるとこんな感じ。

一番大きなアジは43センチ。
その日のうちにハラワタを出して冷蔵保存。
ほとんど徹夜の状態で一日太陽に照らされて釣りをして、そこまですると本当にフラフラ。
晩ご飯用に一尾だけ捌いて刺身を食べます。

この刺身はかなり薄造りにしていますが、魚が新鮮過ぎて薄く引かないと弾力がありすぎ身の美味さも感じにくいのです。
「ああ、美味いなあ。本当に美味い! こんなに美味いアジが食べられなくなるなんて喪失感しかない…」
兄貴、ありがとう♪
第一次産業に従事する方々が報われる社会であることを心から望みます。
今日も自然の恵みに感謝です。
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(^_^;)ゆ
刺身にシソとミョウガ、この組み合わせもたまりませんね。
でも坪ちゃんさんの釣りたての鮎も美味そうです!!
薬味は庭から採ってきましたよ♪
これが二束三文とは・・・
何かが崩れてしまいましたよね。
早く元に戻ってもらいたい。
でも元に戻るんだろうか。
なんだかとても切ないです。
渾身の一皿ですね。
旨そう🎵
いつか元に戻る日が来るのでしょうか?
世界中がこんな状況で、今はなかなか想像できません。
いやいや、この刺身は疲れてヘロヘロになって捌いた一皿なので「アジの活きの良さ」が全面的に出ているだけなのだと思います♪
それとも力が抜けて良い感じになったのでしょうか(笑)?
シンクが宝石箱のようや~。
これで二束三文なんですか?
なんか1次産業って現場から消費者までの間で利益や作った獲った人の想いを吸い取られてしまっているような気がします。おかしいです。
消費者にうまく届ける方法がないのかな~。
はい、アジとしては最高級のランクだと思います。
しかしエサ代や船の油代を考えると経営が成り立たないようです。
産直に出したりしてかなり頑張ったようなんですけどね~。
しかしまあ、流通業界にもそれなりに言いたいことがあるでしょうし、すべてを含めて上手くいって欲しいです。
Webだと上手くできる方法あるんですかね~?