「寒ぅ~!! うう、それにしても1ラウンド目は本当に失敗したなぁ…」
寒さには強い私ですが、この日は冷え込み、2ラウンド目の山の中でそんなことを考えながら待ちについてジッと待機していると、地下足袋から寒さが伝わり内臓の芯まで冷え込みます。

2ラウンド目の待場はこんな感じ。
この日の1ラウンド目に猟犬が放たれ、何度か追い啼きが聞こえた後に待ち(射撃手)を越えて弓(包囲網)から猟犬が出てしまいました。
すると再び弓の外で追い啼き。
一か所に留まって啼き声が聞こえる場合はイノシシを啼き止めている場合が多いのですが、広範囲を移動しながら啼いていたので鹿が出たと判断。
「先回りしたら間に合うかもしれない…」
巻狩りでは射手は基本的に動かない事が大前提ですが、それも状況によります。
他の射手に動くことを伝え(←誤射を防ぐために絶対に必要です)、稜線を忍び足で駆け上がり山と山をつなぐ谷筋に急ぎます。
今の時期、鹿が集団でコロニーを形成しているので逃走経路に先回り出来るかもしれないと考えたのです。
息を切らせながらけもの道の通る谷筋が見える場所に到着すると、すでに4~5頭ぐらいの鹿が早足で歩き去っています。
距離50メートル。遠いけれど撃つしかない!
ドカドカッ!!と3連射。
見えていた鹿は4~5頭ぐらいでしたが、銃を撃ったら後続に控えていた鹿が次々と走ります。
更に薬室に弾を装填し発射。
中らずっ!!再度弾を装填して発射。
中らずっっ!!!もう泣きそう。。。
完全に鹿が通過した後、逃走経路を調べて半矢になっていないかを確認しましたが、全くかすってもいない感じ…。
「全部で15頭くらいはいたな。遠かったとはいえ1頭も倒せないとは情けない。うう、場所移動の判断があと1分早ければまともに待ちに掛かったんだけどなぁ…。
この寒い中、汗だくになって山を競ってくれている勢子役に申し訳ない…」
と、そんなことがあったからです(涙)。
それにしても寒い!巻狩りで獲物を待っている時は気配を殺し動かず待つのですが、足先から上がって来る冷気のためついつい小さく足踏みを繰り返します。
「だあぁ、辛抱たまらん! ちょっと斜面を登って体を温めようかなぁ」
そんな事を考えていると、下の待場の先輩ハンターから連絡。
「小さめの鹿が登っていった。犬は付いてなくてコソコソ素抜けしようとしてるよ。気を付けて!!」
凍えて足がガタガタと震えていましたが、気合を入れて辛抱。
5分ほど待ったでしょうか。
アオキの中に動く影。

「来た…」
耳や目を動かし、しきりに後ろを気にしている感じ。
「よ~っし、こちらの気配は全く気取られていない。通しに乗っているからギリギリまで引き付けちゃる」
猟銃の安全装置を解除し、目線だけで鹿の行方を追います。
しかし鹿は本命のけもの道を通らず、下へとくだるルートを通っていきます。
「ダメだ、これ以上は遠ざかるだけだ」

距離25メートル。
風が吹いた瞬間、(感覚的に)風と同じくらいの速度で挙銃(きょじゅう。銃を構える事)。
殺気を感じて弾け跳ぶように跳躍する鹿。
発砲。
即倒。
と思ったけれどすぐに立ち上がり斜面を駆け上がって行きます。「え!?ウソだろ?中って倒れたのに何故!?」
信じられない気持ちで後を付けると、斜面を100メートル近く登った場所で力尽きていました。

解体すると弾は心臓を破壊。
致命傷の中の致命傷なのにあんなに走るなんてなぁ。
よく「鹿は矢に弱い」なんて言われますが、全くそんなことはないと思います。
それにしてもとりあえず一頭だけでも倒すことが出来てホッとしました。
今日も自然の恵みに感謝です。
↓相変わらずヘナチョコだなっ!! と思った方はクリックプリーズ(笑)♪
にほんブログ村
にほんブログ村狩猟の魅力まるわかりフォーラム
- 関連記事
-
スポンサーサイト
ここぞと引き金を引くのにかすりもしない事がありますが
ありゃ、山の神様が弾筋を曲げてるんですよね~~~
心臓当たってるのに100m・・・・シカは凄いと思います
本当に精魂尽きるまで生きようとする命たち
猟をするときに、仲間や動物たちへの感謝を忘れられませんね
通常は25メートルでゼロインしいるので、後から思うと相当にドロップしていたのだと思いました。
失敗しました。
野生動物の生命力は本当にすごいですね。
もう本当に畏敬の念しかありません。
頭・首・前足の付け根の骨に弾が絡まない限り倒れても起き上がりますから、、
それに距離があったので撃っても中る気がしなかったです(笑)。