少し前の事になりますが、
親方(若き勢子)が一人でイノシシを3頭仕留めた時、親方のお母様も70kg超えの一番大きなイノシシを仕留めていました。(一番手前)

このお母様が、一見すると「え!この小柄で上品なご婦人が狩猟をされるのっ!?」というような感じなんですが、銃を鳴らせば獲物が倒れているというような凄腕。
印象的な猟行だったので書き記しておきます。
今日の待ちはこんな感じ。

勢子役が猟犬を放ち、数発の銃声が鳴った後のこと。
ウオンッ!ウオンッ!ウオンッ!
近付く犬の追い啼き。
バキッ!バキバキバキッ!!
竹や木を踏み割る音。
「来るな…」
安全装置を解除して静かに挙銃(きょじゅう。銃を構えること)。
30メートルほど向こうの孟宗竹の藪から飛び出す大きなイノシシ。
「デカい。70kg以上はある感じ。さあ、どっちに向かってくる?」
イノシシが飛び出した場所からは2本の通し(けものみち)が伸びていて、下って来ると私の待ち(黄色の線)。登ると親方(若き勢子)のお母様の待ちへと繋がっています(ピンク色の線)。

「上に行った…」
母ちゃんに向かって接近するイノシシ。
20メートル、15メートル…。
「矢頃(撃つのにちょうど良い距離)だ…、撃て!母ちゃん」
しかし銃声は響かず。
10メートル…。
「撃て!」
まだ銃声は響かず。
「弾が不発弾だったのか?それとも銃器故障か? いずれにせよ撃てないんだ…。
イノシシが母ちゃんを通り過ぎて安全を確保出来たら、後ろに走り去る獲物をオレが止めるしかない」
失中したり半矢で獲物が急に進路を変えた場合に備えて、私もいつでも撃てる心構えでいましたが、瞬時に周囲の状況確認。
母ちゃんの位置…。はっきり確認できる。OK。
猟犬も周囲にはいない。OK。
後ろにイノシシが走った場合のバックストップ(外れた場合の安土)…。OK。
跳弾の原因となる岩盤や岩なんかもだいじょ…
ドガンッ!!「え?なんだ!?」
視線を戻すと、母ちゃんの足元4メートルの距離に倒れるイノシシ。
「ここまで引き付けて撃ったのか…。すげえ」
大きなイノシシが猛スピードで自分に向って走って来るのは正直恐ろしいものです。
ハンター心理として外したくはないけれど、銃という飛び道具を持っているので出来るだけ安全な場所で引鉄を弾きたいというのが本音です。
実際に身近なハンターが、引き付けて撃ったけれど失中して捲くられた(反撃された)とか、弾の入射角度が悪く頭蓋で滑って致命傷にならなかったという体験談があるからです。
即倒して頭部近くの首筋付近から出血していたので致命傷を負ったのはすぐに分かりました。
しかしイノシシは被弾したことに気付いていないかのように、足をバタバタと振りまわして足掻いています。
小柄な女性にイノシシと格闘させるわけにはいかないので、すぐに応援のためにナイフを抜いて血抜きに向かいます。
足を動かし続けているイノシシの側に寄ると、「起き上がってごらんなさい。すぐに頭蓋に二発目を叩き込むわよっ!」と言わんばかりに、母ちゃんは銃を構えその銃口はイノシシにピタリと照準を合わせたままでした。
ナイフを振って銃を降ろしてもらうように合図。
血抜き。
弾は頭蓋骨と脊柱の接合部を砕いていました。
これ以上ないというくらいのベストショット。
「そっかぁ~、お母さんの銃は上下2連で弾が二発しか連射出来ないもんな。
(よく使われているのは3発撃てる自動銃)
あくまで一発目で仕留めて二発目は止め矢を撃つくらいの心構えなんだろう。気合が違うなぁ」
素直に「母ちゃんカッコイイ!」と思ったのでした。
はい、撃てば外してばかりの私なんかは頭が上がりません(笑)。
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(^_^;)
僕も上下二連ですが、
ヤマドリに8発撃って当たらなかったことが…(≧∀≦)
素早くトップレバーを捻ったら、
即座に装填できますよ。(^ω^)
確実に仕留め、歩留りまで考えた冷静さ。
私は、このご婦人のフアンになりました。
師匠と呼ばさせて下さい!
エッ!図々しい?
射撃の腕も上手く、獲物をよく倒していますよ。
私も勢子筒として上下を申請しようか悩んでいます♪
これを見ていたおかげで、私も誕生日ショットを決めることが出来ました(笑)。