食べる事と、命をいただく事について考えます。 狩猟、素潜り、釣り、採集、手作り等々

命は巡る!響灘ビオトープ♪(追記あり)

予てより行きたかった響灘ビオトープに遊びに行って来ました。
2016.05.03ビオトープ9
響灘ビオトープのHPはこちら。


響灘ビオトープは、かつて旧官営八幡製鉄所(現在は新日本製鉄所)があったため「鉄の街」と呼ばれ、4大工業地帯であった北九州市の洞海湾を埋め立てた場所にあります。
工業地帯が栄えた当時は「死の海」と呼ばれ、ここで獲れた魚介類は100年先でも食べられないと言われた洞海湾ですが、時代が移ろい鉄の街に斜陽が落ちると、皮肉な事に新たな生命がひっそりと育まれることになります。

ベッコウトンボ。
2016.05.03ビオトープ1
一昔前は全国どこにでもいたトンボですが、現在見られるのは全国でも5県ほどという絶滅危惧IA類(絶滅の危機に瀕している種)。


響灘ビオトープは、もともとは人間の出した廃棄物をせっせと海に運んで作り出した埋立地にあり、繁栄の終焉を迎えた工業地域としてはその広大な埋立地を使う企業も無く、いわば「見捨てられた土地」でした。
利用価値のないその埋立地は、訪れる人間も無く何十年も経過。

するとどうでしょう!そこには手入れされなかった故に雨が溜まった池が自然にでき、渡りの途中に羽根を休める野鳥の休憩場所となりました。
その池は野鳥が餌として食べた植物の種子が排泄されたり、風で飛ばされた植物の種子が根付いていくことになります。

更に昆虫類が飛んできて繁殖し、鳥の羽毛や足に付着したフナやメダカの卵が孵化して魚が泳ぐ有様。
2016.05.03ビオトープ16
(展示しているギンブナ)

「見捨てられた土地」は人知れず野生生物の楽園となっていったのです。

しかもその埋立地は運河を隔てて本土と橋一本(現在は二本)しか通じておらず、イノシシなどの大型の哺乳類や特定外来生物の流入が妨げられ、現在日本の自然が抱えるイノシシや鹿の異常繁殖や特定外来生物による脅威に晒されることは避けられたのです。
(ビオトープ内に食用ガエルだけは生息しています)


で、先程のベッコウトンボ。
とある人物が、野生動物を専門とする学者さん達に「この場所には珍しい生命体が生き残っている」と紹介し、この見捨てられた埋立地に多数の個体生息が確認され、俄かに注目を浴びます。
日本全国で開発が進み、絶滅が危惧されるようになっていましたからね。

実はそのある人物とは、私の所属する大物猟グループの前親方。
(ワシの事は「若松の高倉健」と書け!と言われたので、今回だけ若松の高倉健と書きます。笑)

若松の高倉健さんは、定年退職される前は建築関係のお仕事をされており、この埋立地にも仕事でよく訪れていたそう。
で、狩猟以外にも野鳥の観察や写真撮影を趣味とされていたので、この地に珍しい野鳥が多数生息していることを知っていました。

現役凄腕ハンターである若松の高倉健さんの写真データは、珍しい野鳥を撮影した貴重な物が膨大な数量あったので、「学会で紹介したいのでデータを貸してほしい」と野生動物を専門とする学者さん達から頼まれることもしばしば。
2016.05.03ビオトープ15
(響灘ビオトープに展示中の写真)

そういった理由で交流のある学者さんを埋立地に連れて行ったのがベッコウトンボ生息地の再発見となり、この響灘ビオトープが設立されるキッカケになったとのこと。

現在、若松の高倉健さんは響灘ビオトープのチーフガイドをされています。
2016.05.03ビオトープ2
(入場者を案内する若松の高倉健さん。中央)


「ここの一番の特色は生物も植物も何一つ人間が持ち込んでないことだ」
と、若松の高倉健さん。

「だけど自然環境に何も手を加えていないかと言うとそうじゃない。環境を守るため、少しだけ人の手を加えて今の状態を保っているんだ。そうやって守られる生命もたくさんある」
私が狩猟で入る荒れ放題の山中の状態や、獣害対策の電柵とフェンスで覆われた農村部の光景が思い起こされます。
それらは明らかに一昔前の里山とは異なるものです。

「昔は当たり前にいたトノサマガエルなんてのも今や絶滅危惧IB類((IA類ほどではないが近い将来に絶滅の危機性が高い種)だぞ!」
2016.05.03ビオトープ14
「・・・」


少し説明を受けてビオトープ内を散策。
2016.05.03ビオトープ5

2016.05.03ビオトープ3


大砲のような超望遠レンズを付けて一生懸命写真撮影をされている方が多いと思ったら、この日はセイタカシギが舞い降りていました。
2016.05.03ビオトープ6
これはオス。

2016.05.03ビオトープ7
これがメス。


ベッコウトンボと同じく、このビオトープのシンボル的存在のチュウヒ(絶滅危惧IB類)は残念ながらこの日は見れず!
2016.05.03ビオトープ10
陸上に営巣する大型の猛禽類。
このビオトープ内で繁殖しているそうです。


晴れ渡ったビオトープ内を歩き、少し考えながらオオヨシキリの囀りを聞きます。
2016.05.03ビオトープ8

展示物のある建物(ネイチャーセンター)に戻って来て、入口に掲示している入場料の看板を再度眺めます。
2016.05.03ビオトープ12
入場料100円(小中学生は50円)! おまけに展示物のあるネイチャーセンターだけだと無料!!

「これはなぁ、ここを開館するにあたりワシが提案したのよ。
だってなぁ、小中学生やその親御さん、年金生活者が入場料金に一人1,000円とか2,000円とか払えんだろ?1回とか2回じゃなく毎日来てほしいもんな。
そうやって自然に興味を持ってもらう事が一番大切な事だと思う」

「・・・」


色々と考えさせられました。
そしてとても楽しかったです♪

若松の高倉健さん、今回はありがとうございました!!


追記
関連記事はこちら。


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コメント
No title
チェルノブイリも今は野生動物の楽園らしいですね。
自然界にとって人間がどれだけ我がままで脅威なのかを思い知らされます
2016/05/07(土) 08:24 | URL | デビラ #mQop/nM.[ 編集]
良い話を聞きました
ほったらかされ事が良い事なんだ。
20年程前、埋め立て地の事、ゴミを出さない為にフェンスを張りました。
すると、工事現場はあんがいゴミが出ないのに、潮流にのって流れ着く外洋のゴミが多いのです。
フェンスの内側と外側では『逆転現象』が起きました。
福島でも、野生動物が繁殖しているらしい。
さぁて、難しい問題ですネ。
2016/05/07(土) 09:03 | URL | 爺 #-[ 編集]
No title
正月にこの近所でテトラの穴釣りしましたよ。
随分前ですがこの付近ダートラの車やバイクも走ってましたよね。 自分もジムカーナの練習してました。
2016/05/07(土) 11:56 | URL | 小倉の人 #-[ 編集]
No title
ワタクシが生まれたのはK崎、小学生時代はY幡、父はY幡に支社を持つゼネコンの社員でした。ワタクシの幼少期の成長は洞海湾の汚染の上に成り立っていたのだなあと思わされます。今度、行ってみたいものです。とても興味深い記事でした。
2016/05/07(土) 12:00 | URL | ニライパパ #MYO5saVc[ 編集]
デビラさん
ええ、皮肉なものですね。
しかし生命力や自然の逞しさを感じざるを得ません♪
2016/05/07(土) 21:13 | URL | じゃん #-[ 編集]
爺さま
そうなんですよね、このビオトープはほったらかされたことで無くなった自然が保たれました。
しかし一定程度進展すると、今度は人が手を入れないとダメになるんですよ。
つまり日本の原風景は、(自然に理解のある)多くの人の手によって守られてきたとも言えます。
なんか色々難しいですね。
2016/05/07(土) 21:19 | URL | じゃん #-[ 編集]
小倉の人さん
私もこの近くでよく釣りをしていました♪
最近は立ち入り禁止の護岸が増えて釣りもしにくいようですね。
この埋立地でオフバイクのレースが開催されていましたね。

なつかしい思い出です♪
2016/05/07(土) 21:22 | URL | じゃん #-[ 編集]
ニライパパさま
おお、そんなルーツのご出生だったのですね。
なぜ今そちらに?と思ったりもしますが(笑)、少し違えば同じ場所で猟をしていたかも。

ええ、お勧めですよ。機会があれば是非行かれてみてください♪
2016/05/07(土) 21:27 | URL | じゃん #-[ 編集]
No title
ほんとにいい記事です。何もなくなり人が絡まなければ自然環境の回復も早いですが、少しでも人の手が入り込んでいると難しいという見本ですかね。
2016/05/09(月) 10:36 | URL | 川ガニ #AilrZkwc[ 編集]
当方が子供の頃は普通にそこらじゅうに居て遊び相手になってくれていたトノサマガエルやオニヤンマ、タガメやタイコウチ…
そんな今では見かけなくなってしまった過去の生き物達もこのビオトープのように、どこかでひっそりと蘇っていてはくれないものか…

そんな子供の頃にタイムスリップ出来る記憶の楽園ビオトープなら、入場料は幾ら高くても構わないんですけどね(^_^)
健さん、漢です。(笑)
2016/05/09(月) 17:53 | URL | 槍のナガサKI #-[ 編集]
川ガニさん
ええ、回復は早いんですがそのままでは荒廃してダメになることでもありますよね。
自然に近い状態で人が手を加えることも大切だと思います。

実際にこのビオトープでも葦の枯草が堆積しすぎて、ヘドロ化したりしないように管理しているそうです。
2016/05/09(月) 20:39 | URL | じゃん #-[ 編集]
槍のナガサKIさん
はい、そうですね。
ここではタイコウチやコガタノゲンゴロウなども見られます。

私達自然に興味のある人間はお金を払ってでも見に行きたいものですが、そうじゃない方々には興味の沸かないものかもしれませんね。

そう言った意味で、まず自然に興味を持ってもらう事は必要なんでしょうねぇ。
2016/05/09(月) 20:43 | URL | じゃん #-[ 編集]
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プロフィール

じゃん

Author:じゃん
幼少時より食い意地の張った子供で、今でも野生の動植物を見る時には
「美味いか不味いか?」
が大きな判断基準を占める。

素潜り、釣り、手づかみなど様々な方法にて「タダの食料」を捕獲することに情熱を燃やしています。
2009年より狩猟界にデビュー。タンパク質自給率100%達成なるか!?

E‐mail
capturefood@yahoo.co.jp
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