「お前さんがふじの追い出した獲物を仕留めて、自分の仕事の最初から最後までを理解させるとふじも猟犬としてグンとレベルアップするよ」
親方や先輩勢子役の方からそう言われ続けて、少し私は焦っていました。
「そうだよなぁ、今は本能だけで追いかけているけれど獲物との駆け引きとか出来るレベルじゃないし、山を走るのが楽しくて仕方がないっていう感じだもんな・・・。早く勢子撃ちをしてふーちゃんに獲物を仕留める満足感を味あわせてあげたい」
そんなことを思って臨んだこの日の通し(けもの道)の様子はこんな感じ。

ドカドカと鹿の生足(生々しい足跡)が大量に残されています。
「大きな鹿の足跡・・・。これは昨夜の足跡に間違いない。出るぞ・・・」
その読み通り小山の山頂部に着くと、竹藪の中(星印の場所)からバリバリと音を立てて4~5頭の鹿が起き上がって逃げ去ります。
ウォン、ウォン、ウォンッ!吠え立てて追いかけるふじ。
すぐにその事を猟隊のメンバ-に知らせます。
そして一旦はふじの吠え声が遠ざかりますが、再びこちらに向かってくる様子。
「こちらに追い立てて来ている・・・。」
急いで薬室に弾を送り込んで獲物の出現に備えます。
「来た!大きなオス鹿。
バックストップOK。安全装置解除・・・」

距離20メートル。木々の隙間を狙って
発射っ!平然と走り去る鹿。
そしてその少し後をふじが鳴きながら追いかけて行きます。
ギャンギャンギャンッ(父ちゃんのバカ~)!「ああ、全速で走っていたとは言え今のは止めてあげないといけなかった。スマン、ふーちゃん」
そうしてまた獲物の足を求めて包囲網を張っているシガキの方向に進みます。
視界の端に動く影。
走ってきた小鹿が止まり周囲の様子を窺っています。
距離30メートル。
「少し遠いけど絶好のチャンス! だけど薬室に弾を装填していないから動きと音で気付かれるかも・・・」
ゆっくりと静かに動くか、多少音は出ても敏捷に動くかで一瞬迷いますが、ダメ元で速攻勝負!
弾けるように銃を挙げながら装填レバーをスライド。
「ガチャン」照準越しに覗くと異音に気付きながらも立ち止まったままの小鹿。
引き金に掛けた指に力を込め引き金を絞ります。
山の中に一瞬の轟音が木霊し、その後に訪れる静寂。
そして「ハッ、ハッ!」と荒い息を立てながら走り寄ってくるふじ。

即倒した獲物にガブリつくふーちゃん。
(太古の昔から受け継がれてきた猟犬の本能です)
「ごめんな、ふじ。お前がたくさん獲物を出してくれたのに、オレが勢子としてもハンターとしても未熟なばかりにこの時が遅くなってしまったな・・・」

「ううん、いいのよ」
そう言ってくれている様に見えました。
「おう、ふじも一人前の猟犬になったな!」
獲物を引きながら山を降りると勢子役の皆が祝福してくれました。
ありがとう、ふじ。
ふーちゃんのおかげでオレもハンターとして少しだけレベルアップできた気がするよ♪
これからも一緒に頑張ろうな。
今日も自然の恵みといただいた命に感謝です。
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勢子止めおめでとうございますm(_)m
これでまたレベルUPですね( ゚ー゚)( 。_。)
ふーちゃんと楽しく猟が出来て良いですね~
あとは怪我が一番の心配ですねo(^▽^)o
このふーちゃんは頼もしいですねぇ (^_^)
父ちゃんとふーちゃん、これからも無事に!!
ふーちゃんが頑張ってくれていたのに、なかなか期待に応えられなかったので嬉しかったです。
ケガは付き物ですが、気を付けて頑張りたいと思います。
「あの小さかったふーちゃんがなぁ・・・」と思うと感無量な気がします。
これからもふじと一緒に頑張ります。
お、そう言われてみれば似てるかも(笑)。