先日、とある地域の行政の有害鳥獣被害対策担当の方と話をする機会がありました。
「我々は鹿の増加係数を1.3/年としているのですが、この増え方は異常ですよね」
「え!?今は昔と違って鹿は年に2回お産しているので増加係数1.3なんてことはありませんよ」
「ええっ!?鹿って年1回のお産じゃないんですか?」
「昔は春に1回お産をするだけだったけど、今は秋の猟期に母乳が出ている鹿も普通に獲れます。秋にも子を産んでいますよ」
親鹿の半数がメスだとして、年に1回出産したシカが全て元気に育ったら増加係数1.5。
(鹿は一回のお産で一頭の子供を産む)
病気やケガや寿命で多少自然淘汰があるので1.3という係数がはじき出されたのでしょう。
しかし地域での違いはあるのでしょうが、実際には秋にも出産をしていて、猟期が始まって間もない11月上旬にも子鹿を連れた親鹿がいたりします。
年に2回出産をしていたら単純に鹿の増加係数は1.6になりますね。
そして山の中も里山も下草刈りをしないから餌は豊富にあるし、温暖化が進んで寒さで子鹿が死ぬことも少ないだろうし、天敵もいないし、変な伝染病も発生していないし・・・。
そう考えると実際の鹿の増加係数は1.7~1.8くらいになるかも・・・。
実際に今まで生息していなかった地域などでも見られるようになり、山の中でも爆発的に増えていますしね。
そんなことを思いながら出猟し、本日の猟果は鹿が2頭。

1頭がオスの成獣で、もう1頭が秋に生まれた小さな子鹿。
しかし白いビニールシートに包れた子鹿には異変が・・・。

顔面から頭部を覆うかさぶた・・・、抜け落ちた体毛・・・。
疥癬病のようですね。
疥癬病はヒゼンダニの寄生によって皮膚がカサブタ状になって毛が抜け落ち、やがては衰弱して死に至るという、野生動物にとってはとても恐ろしい病気です。
以前、
疥癬病に罹ったタヌキの記事をアップしたことがあったのですが、鹿は初めて見ました。
疥癬病に罹患したイノシシやアナグマの話は聞いたことはありますが、鹿にもうつるんですね。
かつてタヌキの間に疥癬が大流行し、生息数が激減したことがありました。
近年では終息に向かい、またタヌキが増え始めたようですが、それにはかなりの地域差があるようです。
また実際に鳥インフルエンザが流行してからは、鴨類は大打撃を受けてその数が激減しています。
(あくまで私が狩猟を行っていて感じたことですが・・・)
野生動物の生息密度が増加し過ぎると、餌の奪い合いやテリトリー争いなどの面から、そしてこの様な伝染性の病気が流行した時に大ダメージを受けるという点から、ある程度個体数を調整する機能が自然界には働いていると私は考えます。
疥癬病や鳥インフルエンザ、口蹄疫や豚コレラなどがその原因として挙げられますが、これだけ鹿やイノシシが増えた現状ではどちらの勢力が上回るのかは分かりませんけど・・・。
「昔はなぁ、鹿やイノシシなんかそこらじゅうにいてちっとも珍しくもないし、獲ったら有害鳥獣捕獲報奨金なんてものが出ていたんだぞ・・・」
しかし私たちがシルバーエイジのハンターになった頃には、若いハンター達に遠い目をしてそんな昔話をする日が来るかもしれませんね。
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はじめまして
18shotgunと申します。
疥癬病のこと、日頃から実感しています。
特にここ数年
色々な所で目立っているように感じます。
象肌の猪やインフルエンザのカモ
獲っても食べられないセシウムの獲物など
そういう面ではやっぱり個体数の調整って
大事なことなのかと強く考えさせられます。
そうですね、色々な生物のバランスが崩れはじめていますね。
田畑の周囲の草刈りをするだけでだいぶん違うと思うのですが・・・。
無益な殺生はしたくはないのですが、有害鳥獣捕獲の時などは考えさせられてしまいます。
鹿は本来、冬場栄養不足で死ぬ個体が多い。
しかし近年は道路の解氷剤を舐めてミネラルを補給し元気に越冬する事を覚えたのが増え続けてる。。
何だかな~。
車が滑るのはゴメンだけど、鹿の栄養分とはネ…。
ところで、その疥癬病にかかった鹿は食用になるのですか?
肉には影響ないように思えますが、ちょっと食べる気しないですね・・・
医学的にはどうなんでしょう?
ビックリです。
しかし野生動物の適応力の高さや賢さを考えると納得です。
これからどうなるのでしょうかね~?
しかしいただいた命なので食べました。
皮膚の表面に付くダニの様なので大丈夫かと思いますが・・・。