私がまだハンターになる前の一年間は、時間があれば親父のグループの巻狩りの見学に付いて行っていました。
ある程度大物猟の世界を知る必要があったし、「自分に適性があるのか」や色々な意味で「本当に覚悟があるのか」を自分自身が知っておく必要性があったからです。

鳥撃ちは幼少期から見慣れたものであったけれど、大物猟は私にとって未知の世界でした。
(少年時代にはまだイノシシや鹿の生息数はわずかなもので、グループ猟で何も知らない子供が他の方に迷惑をかけてもいけないので連れて行ってもらえなかった)

足跡を追跡して獲物の居場所を探り出す見切り。
猟犬の起こし鳴き。
バリバリと獣道を突っ走るイノシシや鹿。
見るもの聞くことが全て新鮮でした。
「こりゃおもしろそうだ!」
すぐに狩猟免許と銃砲所持許可を取得する準備をしました。
そして一番スゴイ!と思ったことは勢子役の皆さんでした。
普通の人間だったらしがみ付いただけで足が攣りそうな急斜面を、ヒョイヒョイと身軽に登って行く様。
山の中の植生や獣道の様子を知り尽くし、犬が獲物を鳴き止めていると音もなく山のどこからか忍び寄ってきての立て撃ち(犬が止めている獲物を勢子役が仕留める事)。
「すごいなぁ…、勢子の人って現代社会では本当に特殊能力を持つ人間だよなぁ」
素直に感心しました。
そしてそれから6年ほどの月日が流れ、今猟期は私自身が勢子としてデビュー。
「本当にオレみたいなヘナチョコに勢子役が務まるのだろうか?」
と思いつつも、同じく猟犬デビューイヤーの「ふじ」を連れて山へ入ります。

まぁ、如何にそれまでの自分が山の表面だけしか見ていなかったかを知り、今は全てが勉強中です。
それまでは
「あそこら辺に寝屋がある」
「山の中にこういう具合に獣道が通っている」
「こちら側の斜面は急だから獲物はこっちの方向に逃げる」
と勢子の方々から聞くだけだった情報を自分の眼と足で体感することが出来ました。
「点」でしか知らなかった山の中の情報が「線」になり、「面」になっているという感じでしょうか。
しかしこれが本当にキツイのなんのって!
鉄砲を持ち狩猟の装備をして山の中の様子を探りながら急勾配を上り下りするのですから…。
しかも何も整備なんてされていない藪やジャングルジムのように倒木が折り重なった茂の中を進むのです。
ツタや倒木に足を取られ、何度も転びそうになり、実際に転びます。
ゼイゼイと息は上がり、10℃にも満たない気温なのにキャップのツバの先端から汗が滴り落ちます。
「苦しい…。足が上がんねえ…。脹脛と太腿が攣りそうだ…。
勢子役の皆さんはいつもこんなキツイ思いをして獲物を競り出してくれていたのか…」
ふじが何度も近くを探索しては私の顔を見て安心した表情を浮かべ、再度山を駆け回ります。
彼女も山を駆け回る嬉しさと大きなイノシシに対する恐怖心が半々といったところで、時々迷子になっては「キューン、キューン」と私を呼ぶ声が聞こえます(笑)。
しかし「キューン、キューン」と鳴いていたかと思うと、突然
「ウォン、ウォンッ!」という野太い吠え声に変化。
「ふじが獲物を出したな!」
汗を拭い、悲鳴を上げそうになっている両足に気合を入れます。
「キツイとか苦しいとか言ってる場合じゃないな。ふじが頑張ってくれているんだ。さあ、行こう!」
銃を持ち直し現場に急行しますが、遠ざかる鳴き声。
そして数発の銃声。
上手く包囲網に掛かり、少し小さめの35kgのオスイノシシをゲット♪

「ふーちゃん、キミはまだまだ甘えん坊で子犬だと思っていたけど、意外にやるもんだねぇ…」
飼い主も頑張んなきゃいけませんね。
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撃った鴨がかかってて食べたり触ると大変みたいなことです
ふじと共に頑張ります♪(ケガだけは心配なんですけど…)
鳥撃ちもそれなりにハードだと思いますよ!
はっきり言って、その可能性は充分にあります。
だからこそ日頃から野生鳥獣の生態をしっかり観察する必要性があるのだと思います。
まぁ、鳥インフルだけじゃなくって、イノシシや鹿は肝炎ウイルスや寄生虫の心配は常に付きまといますし切り離せないものだと思います。
だけどスーパーで買っているお肉もリスクはゼロじゃありません。
腐ったものを食べれば食中毒になりますし、アレルギーを持っている人には毒物です。
そういう事を含めて「食べることは自己責任」だと思います。
そんな自分に、点と線、そして面の話は妙にしっくりきました。
デビューしたての勢子目線で、記事を書いて下さることを楽しみにしております。
いやぁ~、私も勢子一年目ですけれど、山の中がどうなっているのかなんてまだまださっぱり分かりません(笑)。
半分遭難しているような状態です(爆)!
少しでもたくさん山の中を歩き倒して、先輩方の迷惑にならないように早く一人前の勢子になりたいもんです♪
頑張ります!