fc2ブログ

食べる事と、命をいただく事について考えます。 狩猟、素潜り、釣り、採集、手作り等々

勢子はキツイ!

私がまだハンターになる前の一年間は、時間があれば親父のグループの巻狩りの見学に付いて行っていました。

ある程度大物猟の世界を知る必要があったし、「自分に適性があるのか」や色々な意味で「本当に覚悟があるのか」を自分自身が知っておく必要性があったからです。
2014.2.19勢子1

鳥撃ちは幼少期から見慣れたものであったけれど、大物猟は私にとって未知の世界でした。
(少年時代にはまだイノシシや鹿の生息数はわずかなもので、グループ猟で何も知らない子供が他の方に迷惑をかけてもいけないので連れて行ってもらえなかった)
2014.12.19勢子4

足跡を追跡して獲物の居場所を探り出す見切り。
猟犬の起こし鳴き。
バリバリと獣道を突っ走るイノシシや鹿。

見るもの聞くことが全て新鮮でした。

「こりゃおもしろそうだ!」
すぐに狩猟免許と銃砲所持許可を取得する準備をしました。


そして一番スゴイ!と思ったことは勢子役の皆さんでした。
普通の人間だったらしがみ付いただけで足が攣りそうな急斜面を、ヒョイヒョイと身軽に登って行く様。
山の中の植生や獣道の様子を知り尽くし、犬が獲物を鳴き止めていると音もなく山のどこからか忍び寄ってきての立て撃ち(犬が止めている獲物を勢子役が仕留める事)。

「すごいなぁ…、勢子の人って現代社会では本当に特殊能力を持つ人間だよなぁ」
素直に感心しました。


そしてそれから6年ほどの月日が流れ、今猟期は私自身が勢子としてデビュー。

「本当にオレみたいなヘナチョコに勢子役が務まるのだろうか?」
と思いつつも、同じく猟犬デビューイヤーの「ふじ」を連れて山へ入ります。
2014.12.19勢子2
まぁ、如何にそれまでの自分が山の表面だけしか見ていなかったかを知り、今は全てが勉強中です。

それまでは
「あそこら辺に寝屋がある」
「山の中にこういう具合に獣道が通っている」
「こちら側の斜面は急だから獲物はこっちの方向に逃げる」
と勢子の方々から聞くだけだった情報を自分の眼と足で体感することが出来ました。

「点」でしか知らなかった山の中の情報が「線」になり、「面」になっているという感じでしょうか。


しかしこれが本当にキツイのなんのって!
鉄砲を持ち狩猟の装備をして山の中の様子を探りながら急勾配を上り下りするのですから…。

しかも何も整備なんてされていない藪やジャングルジムのように倒木が折り重なった茂の中を進むのです。
ツタや倒木に足を取られ、何度も転びそうになり、実際に転びます。

ゼイゼイと息は上がり、10℃にも満たない気温なのにキャップのツバの先端から汗が滴り落ちます。
「苦しい…。足が上がんねえ…。脹脛と太腿が攣りそうだ…。
勢子役の皆さんはいつもこんなキツイ思いをして獲物を競り出してくれていたのか…」

ふじが何度も近くを探索しては私の顔を見て安心した表情を浮かべ、再度山を駆け回ります。
彼女も山を駆け回る嬉しさと大きなイノシシに対する恐怖心が半々といったところで、時々迷子になっては「キューン、キューン」と私を呼ぶ声が聞こえます(笑)。

しかし「キューン、キューン」と鳴いていたかと思うと、突然「ウォン、ウォンッ!」という野太い吠え声に変化。
「ふじが獲物を出したな!」

汗を拭い、悲鳴を上げそうになっている両足に気合を入れます。
「キツイとか苦しいとか言ってる場合じゃないな。ふじが頑張ってくれているんだ。さあ、行こう!」

銃を持ち直し現場に急行しますが、遠ざかる鳴き声。
そして数発の銃声。

上手く包囲網に掛かり、少し小さめの35kgのオスイノシシをゲット♪
2014.12.19勢子3

「ふーちゃん、キミはまだまだ甘えん坊で子犬だと思っていたけど、意外にやるもんだねぇ…」

飼い主も頑張んなきゃいけませんね。


狩猟の魅力まるわかりフォーラムHP
鳥獣対策総合案内コーナー(鳥獣対策、狩猟へのご案内など)

↓飼い主も頑張れよっ!と思った方はクリックプリーズ(笑)
にほんブログ村 アウトドアブログ 狩猟・ハンティングへ
にほんブログ村
にほんブログ村 アウトドアブログへ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト



コメント
No title
むーん、ワタクシも鳥猟ごときで「あつつつ、足がつった!」なんて言ってる場合じゃないですね(爆)勢子デビュー!おめでとうございます!誰にでもできる、というかやらせてもらえる役割じゃないですからね!すごいと思います。でも。。。ふーちゃんは置いてってください。危ないから(笑)
2014/12/21(日) 18:13 | URL | ニライパパ #MYO5saVc[ 編集]
No title
鴨って鳥インフルエンザなどの危険性はないんですか?
撃った鴨がかかってて食べたり触ると大変みたいなことです
2014/12/22(月) 17:20 | URL | 猟師になりたい!! #-[ 編集]
ニライパパさま
ありがとうございます。でもまだ右も左も分かっていません(爆)!
ふじと共に頑張ります♪(ケガだけは心配なんですけど…)

鳥撃ちもそれなりにハードだと思いますよ!
2014/12/23(火) 23:29 | URL | じゃん #-[ 編集]
猟師になりたい!!さん
はじめまして! コメントありがとうございます。

はっきり言って、その可能性は充分にあります。
だからこそ日頃から野生鳥獣の生態をしっかり観察する必要性があるのだと思います。

まぁ、鳥インフルだけじゃなくって、イノシシや鹿は肝炎ウイルスや寄生虫の心配は常に付きまといますし切り離せないものだと思います。
だけどスーパーで買っているお肉もリスクはゼロじゃありません。
腐ったものを食べれば食中毒になりますし、アレルギーを持っている人には毒物です。
そういう事を含めて「食べることは自己責任」だと思います。
2014/12/23(火) 23:35 | URL | じゃん #-[ 編集]
今年デビューして、勢子の方々がどこで何をしてるのか、ようやくボンヤリとつかみ始めてきました。
そんな自分に、点と線、そして面の話は妙にしっくりきました。
デビューしたての勢子目線で、記事を書いて下さることを楽しみにしております。
2014/12/28(日) 18:53 | URL | デビュー一年目ハンター #-[ 編集]
デビュー一年目ハンターさん
はじめまして! コメントありがとうございます。

いやぁ~、私も勢子一年目ですけれど、山の中がどうなっているのかなんてまだまださっぱり分かりません(笑)。
半分遭難しているような状態です(爆)!
少しでもたくさん山の中を歩き倒して、先輩方の迷惑にならないように早く一人前の勢子になりたいもんです♪
頑張ります!
2014/12/29(月) 00:48 | URL | じゃん #-[ 編集]
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
カレンダー
02 | 2023/03 | 04
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
プロフィール

じゃん

Author:じゃん
幼少時より食い意地の張った子供で、今でも野生の動植物を見る時には
「美味いか不味いか?」
が大きな判断基準を占める。

素潜り、釣り、手づかみなど様々な方法にて「タダの食料」を捕獲することに情熱を燃やしています。
2009年より狩猟界にデビュー。タンパク質自給率100%達成なるか!?

E‐mail
capturefood@yahoo.co.jp
お気軽にメールくださいね♪

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード