今日の大物猟の第一ラウンドはこんな場所。

ヌタ場も使っているし、カセギ(餌を食べた痕跡)もあります。

作戦会議の後、勢子(犬を使って追い出す役目のハンター)と待ち(出てきた獲物を撃つ狙撃手)が静かに弓(包囲網)を張り巡らせます。
待ちがそれぞれの待機位置に付き、勢子役が猟犬を放って探索開始!
勢子役から山の中の餌を食べた状況や、足跡などの情報が伝わってきます。
「生足(今日歩いた足跡)もカセギもすごいよ」
すぐに猟犬が追い出してくれるか?というような状況だったのですが、猟期終盤のスレたイノシシは弓を張る前に逃げ出したのか反応がありません。
私の所属しているグループの攻め方は短時間で終わることが多いのですが、この日は小一時間ほど競っても反応なし。
しかし勢子の粘りが実り、別々の方向から2頭のイノシシが出ます!
次第に近くなってくる猟犬の追い鳴き。
「来るぞ…」
銃の安全装置を解除して待ち受けますが、イノシシは現れず仲間の待つ山の上に移動。
3発の銃声。
そして犬の鳴き声が背後に移り、包囲網を突破されたことが分かります。
「後ろに逃げたな…。しかし犬の鳴き声が膠着状態だから半矢で止めている」
動くことを連絡し、猟犬の鳴き声方向に向かって急ぎます。
しかしこれが結構な急斜面でキツイ!
ゼエゼエハアハアと息を切らせながら登って行くと、30メートルほど前方に獲物に忍び寄る親方を発見。

「速い!!」
親方は数年前まではバリバリの勢子だったし、今でも弓を配る(包囲網を張る狙撃手を配置する)時は待ち(狙撃手)を配置しながら自分が一番高い場所に登って行くほどの健脚です。
スパイクも付いてない長靴を履いているのに、スルスルと音もなく斜面を登って行く姿はまるで忍者のようで、とても60代半ばの人間の物とは思えません。
親方と私の距離は離れる一方で、やがて親方の姿が尾根を超えて見えなくなったところで2発の銃声。
「仕留めた」という連絡は来ず、まだイノシシを追跡しているようです。
(実はこの時かなり深刻な事態が親方に起こっていました)
「ダメか…」
私も現場に急ぎますが、稜線を越えた所で1発の銃声。
「止めたぞーっ!!」親方の声。

まるでジャングルジムのような竹林の中でイノシシに追い付いて仕留めていました。
ちょっと小さめの35kgのオス。

「危なかった。実は今日は手持ちの弾が少なくて6発しか持って来ていなかったんだ。
弾があと1発しか残っていないことに気付いた時は焦ったが、なんとか仕留めることが出来て良かった。
しかし最後の1発を外したらと思うとさすがに緊張した!」
状況を確認すると、最初の3連射の1発が中って手負いにしていたようです。
その後2発の弾は外れ。
最後の1発が頸椎を砕いていました。
私も最初の猟期の大物猟でたくさん弾を撃って手持ちの弾が残り少なくなり、相当に心細い思いをしたことがあります。
その時に「銃なんて弾が無かったらタダの錘」で何の役にも立たないことを学び、それからは弾帯を巻いて20発くらいのスラッグ弾を持って行くようにしています。
一日に10発近く撃つこともよくありますしね。
もう一頭のイノシシはかなりの大物のようでしたが、こちらには逃げられました。
親方は次のラウンドが始まるまでの時間に銃砲店に車を走らせ、弾を買って来ることになりました(実話)。
狩猟に行くと色々なことが起こるなぁ(笑)。
今日も自然の恵みに感謝です。
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大物猟で弾が無くなって焦った事は私も何回か経験があります(何となく持って行ったバックショットで助かりましたが....)やはり用意周到な準備が必要だとつくづく思いました(^^;)
雪が積もったら、イノシシより速い爺ちゃん。
単独忍びで、一昨年は30頭超えてました、
昨年は、自身が一時入院されてたのに、20頭くらい。
さすがにこの猟期は、奥さんが骨折入院されてて、猟果は聞いてません。
その爺ちゃんが、「昔の単発銃のほうがようけ獲れた。」と、おっしゃってました。
一発の大事さでしょうかね。
無事で何よりです!
でも余分に持つと重いのよねぇ(笑)
いくら、仲間が居ても貸し借りはできませんし・・・
次のラウンドに間に合う所に銃砲店があるのですね~
うちだと、往復で軽く1時間は掛かります・・・
野生動物は手強いですね。
はい、私も冷や冷やした事があります(笑)。
弾って大切だなと思いました。
時間が出来たら「ハンター列伝」というカテゴリーを作って、凄い猟師さんの話を書いてみたいですね(笑)。
でも笑えるうちはいいですが、笑えないようになったらシャレになりませんね(汗)。
お互い安全狩猟で!
出血が止まらん」
息も絶え絶えの親方からの連絡。
「しかしオレが手負いにした獲物だ。オレが最後まで片を付ける。弾はあと1発しか残っていないけどな…」
響き渡る銃声。
「親方ぁ~!!」』
オイノコさんのコメントを見てちょっと創作しました(笑)。
私がフィクション作家デビューした暁には、同名のタイトルで発表します(爆)!
でも弾切れよりは良いかなと頑張っています。
おかげで弾帯を外した時に軽いこと♪
おかげで親方は弾を買ってきて往復しても次のラウンドには問題ありませんでした。
狩猟って面白いですね。