ブラウンさん(ボリスブラウンという種類のニワトリ)の一羽が行方不明になって、二晩が経過しました。
「ニワトリネットを越えて飛び立って、そのまま野生動物か野良猫にさらわれたんだろう…」
と思わざるを得なかったのですが、どうしても腑に落ちなかったことがあったのです。
実は行方不明になった時に、ふじをニワトリと同じ場所に放していたのです。

「仮にネットから飛び出したとしても、ニワトリが外敵から攫われるのをふじが近くにいて黙っているはずはない」
ニワトリ達を仲間だと認識し、守るべき対象としているふじに対しては、飼い主として絶対的な信頼があったのです。
(モリとカヤは獲物と思っているので安心できないのですが…)
なのでどこかひっそりと抜け出して、そのまま遠くへ行ってしまったのだと思ったのです。
「どこか抜け出せる場所はないか?」
と隈なく探したのですが、そんな場所を発見できず。
「それに3羽が脱走したとしても、
生まれ育った場所から離れることが出来ないようなチキンだし…」
何かがしっくりとせず…。
モヤモヤした感覚だけが心に積もります。
違和感がずっと警鐘を鳴らしていました。
曖昧な言い方ですが、私は「自分の感覚を大切にしているタイプ」の人間です。
そしてハンターになって10数年間、猟期はほとんど全ての休みの日に出猟して、野生動物の痕跡を追いかけていた人間です。
そんな私が感じた違和感は「逃げ出した痕跡がまったく無かった」ことです。
しかしながら
「もう二日も経過したし、いなくなったブラウンさんもお亡くなりになって、他の生物の命を繋ぐ栄養になっている事だろう」
そう思いながら、起きてニワトリの餌入れにエサを入れるために外へ出ました。
「んっ!?」と思って周囲を見回します。
「戸袋(雨戸を収納する場所)」という単語が頭の中に突然思い浮びます。
(なんだか夢の中で出てきたのです。実話)
急いで戸袋の隙間を覗き込みますが、そこにはみっちりと古い木製の雨戸が収納されているだけで、ニワトリが入る隙間なんてありません。
「なんか閃いた!と思ったけど錯覚かぁ…」
そう思った瞬間
「コォ~ッ、コッコッコ(ここにいるのよ~)!!」と、何もない空間からニワトリの声が響きます。
「どこだっ?」
必死になって探すと、戸袋とコンクリートの縁側の間に僅かな隙間があって、そこからニワトリの指がほんの少しだけ見えて動いています。
「み、み、見つけた~っ!!」どうやら戸袋と縁側にティッシュ箱くらいの隙間があり、そこに入り込んで動けなくなった感じ。

(黄色の部分が隙間。赤印から侵入)
取り急ぎ足指が見える隙間から水を流し込み、エサを押し込みます。
ガツガツと水を飲みエサを食べる様子を確認。
「ホッ!自力でエサを食べる元気はあるな。よくぞ生きていてくれた!!」
少し落ち着いて救出を試みます。
掴めないかと思って腕を入れてみると、何か丸いものを発見。

「なんでこんな所に卵があるんだ?」
と思いましたが、初産の為の落ち着ける場所を探してこんな場所へ入り込んでしまったんでしょうね。
それからホウキを使って後退させ、手で掴める場所まで押し戻して救出。

すぐに水瓶に口を付けて、長いことゴキュゴキュと水を飲んでいました。

「良かった。これだけ元気だと大丈夫だろう」
羽毛の艶も良さそうだし、痩せた感じも無いし一安心。
時間にして44時間ほどこの隙間に入っていたことになります。
「よく暑さや飢えや渇きで死ななかったなぁ」と思いますが、この前日は線状降水帯が発生して横殴りの酷い雨。
おまけに最近、庭先に大量のナメクジが発生していたので、この隙間が隠れ場所になっていたようです。
更に豪雨で気温が下がり、久しぶりに涼しい夜を迎えたのでした。
水・エサ・気温をクリアできる、幾つもの偶然が重なって救出することが出来ました。
朝から泥々の汗だくになったのでシャワーを浴びて仕事には遅刻して散々でしたが…。
しかしまあ、夕方帰宅してもブラウンさん自体はケロッとしていたし、行方不明時にふじを庭に放しても焦った様子も無かったし、慌てていたのは人間だけだったのかもしれません(笑)。

(夕方の写真)
あ、ニワトリが侵入した入り口は、取り急ぎ土嚢とブロックで塞いでおきましたよ。
かなりホッとしました。
良かった!!
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