「う~ん、自信ないなぁ…」
今年の冬はかなり寒い気がします。
そんな中、出猟したある日のこと。
見切りのために各地を見て回りますが、ガチガチに霜柱が立ち、ヌタ場の表面も凍っています。

足跡もヌタ浴びした跡の新旧が分からず、見切りに苦戦。
そうして獲物が潜んでいそうな山を攻めますが、2ラウンド終了して何も獲れません。
それなりに獲物は出ましたが、全員での発砲数も1発のみ。
この様な状況は私の所属する猟隊ではかなり珍しいことです。
(私が出猟した日に関しては今のところボウズなし)
競り終ってもまだまだ元気なモリ(左)とカヤ(右)。

ふじは発情期でお休みです。
普通の猟隊ならガッカリするところでしょうが、
「やった~っ!今日は解体が無いから早く帰れるぞ~!!」
と、心の中で少しニンマリ(笑)。
この時点で12時少し前。
いつもなら翌日もあるし、山の中で反省会をしながら弁当を食べて終了となります。
しかし翌日は降水確率100%。
「ま、明日は休みだし小さな山をもう1ラウンド競ってみようか」
という事になりました。
待ち(射撃手が待ち受ける包囲網)を張り、モリとカヤを放ちます。
すると追い啼き(獲物を発見しての鳴き声)も無くあっという間にぶっ飛んで行きます。
「犬の動きが変だ!みんな気を付けて!!」
獲物が早立ちして追いかけることに集中している時に起きがちな動き。
「鹿が動いてるな…」
犬の動きからそう判断します。
「このぶんじゃすぐに待ちに掛かって終了だ」
と思っていましたが、待ち(射撃手が待ち受ける包囲網)からは途中で獲物と猟犬が引き返したことを伝える連絡。
猟期も終盤に差し掛かり、獲物も学習して射手の気配に気付いた感じ。
「獲物が引き返してくるぞ…」
犬を放った方向には親方(若き勢子)、ベテラン勢子、親父の精鋭に私の4人がいます。
(私はこのラウンドでの勢子役。待ち役としては一番役立たず…)
山を登る時に他の射手の位置取りは確認しているので、親父の待ち場から30メートルほど離れた稜線で私も待機。
「カサッ」っと枯葉を掻き分ける音。
山の中腹を走る鹿が5頭…。
立派なオスが2頭にメスが3頭。
まだまだいる感じ。
ドガッ!!親父の待ち場から発砲音!
同時に私の前にも2頭のメス鹿。
バックストップが出来た瞬間に撃ち掛け、「ガクッ」っと体制が崩れます。
「あたったけど半矢で走られた。急いでモリとカヤを呼び戻して追わせないと…」
半矢(致命傷を追わせられなかった状態で逃げられること)は撃ったハンターとしても、罪悪感もあり心情的に落ち着けないものです。
しかし、さっきまで獲物を追って姿が見えていたモリとカヤの姿がありません。
「さて、モリとカヤはどこに行ったのだろう?」
そんな事を思っていると、下の待場に付いている親父からの連絡。
「たすけてくれ~!!」通常なら無線連絡ですが、生声で叫んでいます。
現場に着くと立派な角を持った大きな鹿がいて、その角を両手で押さえつけている親父。
生きている鹿を逃がすまいと、腹部に噛み付いているモリとカヤ。
「鹿が頭を振って、少しでも力を緩めると犬が角で突かれそうなんだ。早く止めてくれ~」
「片方の角を足で踏んじゃえばいいんだよ。そうしたらナイフが使える」
「理屈じゃ分かっているけど、こいつ首の筋肉が物凄い力なんだ。踏みつけることが出来ない」
「う~ん、確かにデカいオス鹿だ」
「とりあえず動画でも撮るか」
と思ってスマホを取り出そうとしましたが、鹿の角を抑えている親父が今にも首の力で吹っ飛ばされそうなので、親父のナイフを借りて止め刺し。
(危ないので犬が絡んでいない状況では迷わず猟銃で止めてください)

親父の撃った弾は肩甲骨を砕いていました。
その他にも精鋭陣がメス鹿を2頭ゲット!
(1頭はヘナチョコハンターの私が半矢にした鹿)
ここまでで犬を放してから15分。
回収しても1時間でした。
「午前中の苦労は何だったんだ…」
と皆で話しながら、ワイワイと解体作業。
「今日は早く帰れる予定だったんだけどなぁ~。いやぁ~、残念だ!!」
山の神様祭りをして無事に終猟。
今日も自然の恵みに感謝です。
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