「貴方は肉を食べることに異様な執念を持っているようですが、それは一体なぜですか?」
狩猟を始めて、ブログにお肉料理の写真を載せていると、そんな事をとある人から訊ねられました。
「え!?そうですか? 自分では全然そんなこと思った事無いです。普通じゃないんですかね?」

真面目にそんな風に回答しましたが、やっぱりそんな事を聞かれること自体が普通じゃないんだろうなぁ~。
「なぜ?思い当たることは特にない…」
鹿肉のステーキを焼きながら考えました。
「いや、待てよ。思い当たるとしたらアレしかない…」
私の少年時代、夕食前に何度も何度も再放送をしていた『トムとジェリー』です。
猫のトムとネズミのジェリーが巻き起こす愉快なアメリカの傑作アニメで、とにかく動きがおもしろくて単純明快!!
そしてそこには、美味しそうな骨付き肉やデザートやバーベキューをとても美味しそうに食べるシーンが多々出てきました。
とにかく育ち盛りの少年時代の夕食前の時間です。
画面に映し出される、それら異国のご馳走の情景に胃袋を鷲掴みにされました(笑)。
そこで誕生日やクリスマスなんかのイベントごとがある度に
「ローストチキンが食べてみたい」
とか
「分厚く切ったお肉のバーベキューが食べてみたい」
なんてことをお袋にリクエストしていたのでした。
我が家は親父が狩猟をしていたので丸ごとの鳥や塊肉も手に入りましたし、凝り性の人間だったので当時のスーパーの棚に並んでいないような「ハーブ」なんていうものを自分で植え、ドライハーブを吊るして肉料理に使ったり、自家製の燻製を作る人でした。
お袋も料理が上手な人で、ネットも無かった時代に新聞や料理雑誌のレシピの切り抜きをして、その当時では珍しい料理やデザートを作ってくれていた記憶があります。
なんかそう考えると、私の猟欲の強さと食いしん坊な気質は、それらのバックボーンがあってのものだったんでしょうね。

(実際にはこの状態からもう少し火を通しますが、基本的に生肉が好き)
血の滴る鹿肉のステーキの写真を少しだけ撮影し、肉を頬張りながら考えます。
「でも、時代かもしれないけれど、料理の写真撮影なんて誰の血を引いたんだろう…」
そんな事を考えていると、亡くなった祖父の事を突然思い出します。
「あ!大好きだったお爺ちゃんの趣味がカメラだった…」
大正時代に産まれた祖父は、穏やかで優しい人でした。
激動の時代を生き抜いてきた人だったので、たくさんの苦労をしてきたのだろうけど、時々ほんの少し戦争の話をしてくれるだけで、そんなつらい思いをしてきたことを感じさせない人間でした。
そんな祖父の唯一と言って良い趣味がカメラでした。
私(今51歳)の世代の人間で、生後間もなくの映像(動画)があるのは珍しいことです。
祖父が8ミリフィルムで残してくれたおかげで、そこには祖父の目を通して撮影された、赤ん坊の時の私達兄弟や、今の私の半分ほどの年齢の両親の姿が写っています。
見るとちょっと涙が出ます。
「細々とではあるけれどフィールドに出て写真を撮影し、そこから得たものを料理して食べてその写真を撮るというのは、今まで可愛がって支えてくれた家族があってのものなんだ…」
突然ですがそんな考えに至り、そしてそれが自分の中にとてもすんなりと入って来て納得できたのでした。
なんか、少しブログを書く励みになりました♪
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