私の記事を見て、「なぜ鹿ではなくイノシシばかりを狙うのか?」と思う方は多いと思います。
「イノシシの方が美味しいからだろ!?」
はい、確かにそれは理由の一つです。脂の乗ったイノシシ肉はとても美味しいです♪
しかしそれ以上に大切な理由があります。
鹿を追わせていると
「猟犬がまともに獲物を探索しなくなる」からです。

(左カヤさん、右ふじさん。今回はウチのワンコが追い出したのは残念ながら鹿のみ)
早抜けしたりで例外はありますが、イノシシは基本的に日中は藪深い寝屋で寝ています。
そこを突き止めて起こす(寝屋から追い立てる)のがイノシシ猟犬の役割なのですが、イノシシと鹿が混在する場所では犬を放しただけで異変を感じて鹿が山中を走り回って逃げ出します。
獣の匂いがするので、どうしても猟犬は早立ちした鹿の匂いを追いかけます。
その結果、厄介な猟犬がいなくなったところでイノシシは悠々と寝屋を後にして、手薄な場所から逃げ出してしまうのです。
射手も獲物が来た以上は鹿でも撃ちますし、倒したら猟犬も満足し「自分が追う獲物はこれなんだ!」と誤った認識をしてしまいます。
そうやって鹿ばかりを倒すと、猟犬が寝屋に潜んだイノシシを全く探索しようとしなくなるし、仮に山でイノシシの匂いがしても「自分の追うべき獲物ではない」と思い込みます。
イノシシがたくさんいる場所を狙って猟犬を放ち、イノシシとの駆け引きをしっかりと覚えさせないと「鹿しか追わない鹿猟犬」になってしまうのです。
鹿は走って逃げるだけですが、イノシシは鋭い牙で猟犬と交戦し、時には猟犬が牙によって大ケガを負うこともあります。

(前のラウンドでは、他の勢子役さんが寝屋で立て撃ちして流石!のイノシシゲット♪ の運び出し風景)
そういった経験をすると、犬によっては
「あ、この匂いは危ないヤツ(イノシシ)だ」
と認識して、敢えて鹿ばかりを追うようにもなるのです。
(実際に鹿がとても多い地域の猟犬を見た時に、目の前をイノシシが通り過ぎたのに、それを無視して鹿の匂いを追って行ったことがあります)
本能として獲物は追いたいでしょうけど、猟犬だってイノシシの牙で怖い思いをしたくないでしょうしね。
そうなると「犬が呆けてしまう」と言って、イノシシ猟では全く使い物にならなくなります。
(当然、イノシシでも鹿でも両方ガンガン追う猟犬もたくさんいますが…)
去年までは心に傷を負ったカヤを山に連れて来ること自体に必死だったので、私にあまり余裕がありませんでした。
しかし今年、先輩猟師さんの話に耳を傾けると「これは本当に重要なことだな!」と真剣に思いました。
鳥猟犬はより血統に強く作用されるようですが、それでも飼い主の対象となる獲物によって、大きく猟芸が変わることを目の当たりにして育ってきたからでもあります。
モリとカヤの2頭の本格的な仕込みのシーズンである今猟期、出来る限りイノシシの痕跡が強い場所を狙って、2頭を立派なイノシシ猟犬に仕上げたいと思います。
頑張りま~す!!
↓あれ~? アナグマ猟師になるんじゃなかったのっ!?と思った方はクリックプリーズ(笑)♪
にほんブログ村
にほんブログ村狩猟の魅力まるわかりフォーラム