ピロリロリ~ン!ピロリロリ~ン!スマホの着信音。
(山の中で落としたことがあるので、猟に行く時は何時も最大音量にしている)
ふじとモリと共に山を競っている最中だったし、ふじが獲物を発見して啼いた直後だったので画面を見ずに電源を切ります。
山から出てきてスマホの電源を入れ直すと、ご近所の方からの何回もの着信。
嫌な予感がして折り返します。
「お宅のワンちゃんが外に逃げ出していますよ~」
とのこと。
家に置いてきたカヤが脱走したことはすぐに分かりました。
メンバーの皆さんにお断りしてただちにに帰宅。
帰宅するとカヤは幸い家の敷地内に戻って来ていました。
グニャリと曲げられた門扉のアルミパイプ。

一度突破されてからワイヤリングと結束バンドで補強していましたが、再度破られていました。
門扉の前に座り込み、申し訳なさそうにパタパタと尻尾を振るカヤ。
「ごめん。カヤは全然悪くないよ。オレが悪い…。
一人だけ置いてけぼりにして本当にすまなかった…。
そうだよね、カヤも皆と一緒に山を走りたいよね」
カヤは生後5ヶ月の時に私の不注意から脱走して
心に傷を負い、リードを付けるとガタガタと震えて一歩も動けなくなってしまうのです。
山を競って入り跡と反対側に出てきてしまった場合等、猟犬はリードを付けて一般道を歩くこともあるし、正直なところ「リードを装着できないと猟犬として使役するのは無理だな…」と考えていました。
パニックになって迷子になったり、咬傷事故を起こしても困りますしね。
「カヤを置いてけぼりにするとかわいそうだけれど、モリの訓練も始めないといけないし、本当にどうしよう」
そう思って、ずっとずっとその事が私の心の中で澱のように深く重く引っかかっていました。
そしてふじとモリを軽トラに積んで猟に出発する間際には「キュ~ン、キュ~ン」と鳴くカヤにいつも後ろ髪を引かれていました。
(でも軽トラには乗り込まない)
しかし今回の脱走事件が発生し、ようやく腹が括れました。
「よし、やっぱ皆で一緒に山へ行こう!」散歩はストラーダの後部座席に乗って人のいない海辺や広場に行って走り回らせているので、ストラーダの後部座席なら大丈夫なのです。
しかしこれが狩猟となると、ワンコの身体にダニは付くし泥だらけになったり、時にはタヌキの溜め糞を体に擦り付けて来たりするので、そのままではとても座席に座らせることは出来ません。
最初は後部座席にブルーシートでも敷こうと思っていたのですが、ちょっと調べると「犬用ドライブシート」なるものが安価で売られていました。

へぇ~、最近は便利なものがあるんだねぇ。
親方(若き勢子)に事情を説明して、猟隊がお休みの日に見晴らしがよく長い距離を歩けるような場所を散歩がてら競らせてもらうことを伝えます。

まず第一は、車に乗って猟に行く楽しみを知ることとカヤが山歩きに慣れることが目的。
周囲に人家が無く車で山際まで付ける事ができる場所を選びました。
そして藪が茂った場所に寝ているイノシシではなく、比較的透けた場所にいる鹿を追わせてカヤの猟犬としての本能を開花させてやることが第二の目的。
透けた場所だとカヤの動きも良く見えますしね。
(画面には写っていないけれど)山へ着くと嬉しそうに走り回る3頭。

急斜面の檜林の中を3頭で進んで行きます。
「初めて獲物のいる山を走るけれどカヤは大丈夫だろうか?」
と心配しますが、それは杞憂に終わります。
私の周りを適度に離れては時々連絡のために顔を見せに来てくれます。

(手前カヤさん、奥がふじさん)
カヤの嬉しそうな笑顔♪
「ああ、良かった。本当に良かった…」一頻り山を歩いて、降りる直前に若いオス鹿をゲット!

獲物の匂いに興味津々な3匹。
「疲れました~っ!!」

鹿を追っかけまわしてこの表情。
猪猟犬としては鹿を追わせると、鹿ばかり追っかけて良くないのですが今回は目的が違うので良しとしましょう。
車に載せる直前の林道で試しにリードを付けてみましたが、これはまだ早過ぎたようで座り込んで震え出してしまいました。

ごめんごめん。
でもカヤが山を楽しめたようで本当に良かった。
これからも一緒に頑張ろうな♪
真実を語ると、帰りのストラーダの車内は3頭のワンコの体臭と、身体を冷やすためにイノシシのヌタ場で泥浴びした泥の匂いが入り混じって物凄く異様な匂いに包まれたのですが…。
(そして何日経っても匂いが取れていない)
こりゃ明日からの出勤は、雨の日も雪の日も毎日スーツでスクーターだな。
まあカヤの笑顔が見れるなら、それくらいお安い御用です。
今日も自然の恵みに感謝です。
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