先日の追記になります。
明るくなる7時過ぎから山の中に入り、獣の動向を探るために見切り。

「ふんふん、真新しいカセギ(餌を食べた痕跡)があるな。足の大きさがハッキリわかる場所はないか…?」
少しずつ移動しながら地面と睨めっこ。
ガサっ!!30メートルほど向こうの山の斜面に70kgを優に超える様な大きなイノシシ。
逃げるわけでもなく頭を上げてこちらの様子を伺っています。
「うっ、まだ銃カバーを掛けたままで撃てる態勢じゃない」
そろそろと弾帯に手を伸ばし弾を取り出そうとしますが、その間にイノシシはゆっくりと斜面を上って行ってしまいました。
「まあいいや。ここで中らない鉄砲を発射するよりも山をキッチリと囲んで猟犬で競る方が確実だ。そのためにも他の獲物の動向をしっかりと見ておかなきゃ」
車で行けるところまで行き、車を降りてドアを閉めます。
ガサガサガサっ!!15メートルほど上の斜面を、30kgほどのイノシシが3頭走り去っていきます。
もうとっくに夜が明けているけれど、こんな時間までクヌギの枯葉でフカフカになった斜面に寝ていたんだ…。
皆と合流し報告。
すぐに山に弓を張り(狙撃手が包囲網を張ること)、勢子役が犬を放ちます。
「獲物が出た」という報告。
そして猟犬の追い啼きと数発の銃声。
88kgのオス。

68kgと56kgのメス。

3頭の良い獲物に恵まれました。
ここまでで10時。
3頭も獲れているので、通常ならば止めて解体作業に入るところですが、この日は犬を連れて来てまだ放していない勢子役がいます。
(今年は特にふじのお子様たちのデビューイヤーで、少しでも多く山を引いて猟犬として仕込みたい思いもあります)
「じゃあ、小さな場所を競ろうか」
「もう上物の獲物に3頭も恵まれたんだ。欲出さずに獲らなくていいぞ~。
犬の散歩でいいからな」
「うっ!言ってはいけない言葉を言っちゃった…(心の声)」
この「犬の散歩」という言葉が本当に曲者なのです。
猟師というものは、通常は「獲物を獲ろう」と思って山入りするわけですが、こんな場合猟欲もなく無心で獲物を追って待つことになります。
いつもなら「追い出さなきゃ」とか「出てきたら撃って中てなきゃ」と、多少なりともプレッシャーの掛かった状態で山入りするのですが、こんな場合はノンプレッシャーです。
「撃ち漏らしました~」
「そうか、よくやった!!」
なんて言われるわけですから(笑)。
そしてそんな時こそよく中ったりします。
見切りの後、親方(若き勢子)と少し言葉を交わします。
「とても獲れそうな予感がするね…」
「うん、すごく獲れそう…」
親方(若き勢子)も勘が良い方ですし、私も猟運が良い方です。
嫌な雰囲気(笑)。
「たくさん獲れたほうが嬉しいだろう!?」
と皆さん思われるかもしれませんが、解体の時間というものは結構な時間がかかるものです。
獲れたら獲れたでその後の解体・精肉作業に時間を取られ、帰宅・睡眠時間が少なくなるというわけです。
なのでグループ内の定数(一日に獲って良い数)を自主的に3頭としていますし、それ以上獲ったら「撃った者の責任で丸ごと持って帰れ~」なんて言われるわけです。
(ちゃんと捌きますけどね)
11時前くらいに猟犬を放って2ラウンド目のスタート!!
すぐに猟犬の起こし啼き(獲物を寝屋から追い出す鳴き声)。
「やっぱり獲物いたかぁ。カセギが新しいし生足があったし、絶対いると思ったんだよね…」
数発の銃声。
色々とありましたが、昼の1時過ぎには無事に終了。
そのラウンドでも勢子長が125kgの巨大イノシシを撃ったのを始め、3頭の獲物に恵まれました。

2頭は30kg切れるくらいの小イノシシでしたが、他はよく脂が乗った上ランクの獲物♪

(大きなものだけ並べています)
まあ、笑顔があったのもここまで(笑)。
これから皆で獲物をヒーヒー言いながら捌き、片付けを終えると真っ暗。
7時半を過ぎていました。
(これでも作業スピードはかなり早い方だと思います)
ヒーヒー言ったけれど「嬉しい悲鳴」って感じで、たまにはこんなのも良いですね。
今日も自然の恵みに感謝です。
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