昨年の猟期の話になります。
とある場所の光景。

待ちを張るために防獣フェンスが張り巡らされた山中を進むと複数の人影。
「なんだ!? なぜこんな冬山の中に一般の方がいて、何の作業をされているんだ?」
挨拶をして事情を聴きます。
「わしらはこの麓の村の住人なんだ。地区の決まり事で二週間に一度、交代で防獣フェンスの見回りと補修をしている。
二週間も放置しておくとイノシシは怪力で穴を開けているし、鹿はこれくらいの高さなんかものともせずに飛び越えて行き来している。
ワイヤーメッシュを担いで登ってきて補修をしないといけないし、イノシシが掘って抉れた場所は丸太を縛り付けないといけない。
これがもう、ホントに重労働なんだ。
だけど皆がやっている事なんで今更イヤだとは言えないし・・・」
よく見るとフェンス沿いの獣道は、蹄で同じ場所を集中して歩くので30センチほどの深さの段差になり、補修のためにデタラメな数の鉄筋が打ち込まれています。

山中に人がいて危険だったので、猟隊のメンバーに巻き狩りを中止することを伝えようとすると意外な答え。
「ワシらは一旦山を出るからやってくれ。いくらフェンスを塞いでも山の中の獣の数が減らないとどうしようもない」
ということで巻き狩りを開始しますが、これが全くダメ!!
鹿はフェンスを飛び越えて逃げるし、イノシシは自分で開けた秘密の逃走経路から真っ先に逃げ出してしまいます。
フェンスの内側には悔しくて吠え捲る猟犬と呆然とするハンター達。
「こりゃどうしようもないや・・・」
これは違う場所の写真なんですが、ここも立派なフェンスですね。

まだ設置されたばかりのようで「イノシシでも鹿でもかかって来んかいっ!!」という無敵感溢れる佇まいです。
しかしその3年後の姿がこれ。(先ほどとは別の場所です)

無数のカズラが巻き付いてすでに無法地帯。
一部は重みで斜めに傾いています。
ここも3年ほど前は先ほどの写真の様にピカピカだったんですけどねぇ。
「フェンスがあるから草刈り機が使えないので除草も出来ない。
こうなることは分かっていたから正直な話設置したくなかったんだけど、自分の畑だけ設置しないと獣の侵入経路になるから他の人に顔向けできないんだよね・・・。
あと1~2年もするとカズラの重みでフェンスが倒れるだろうから、その時は重機で撤去してもらおう」
防獣ネットって役に立たないじゃん!!と思いますが、電気柵も事故が起こったり切れた電気線の補修がこれまた大変なようです。
まあしかし、こんなことは農業従事者でも林業従事者でもない私が言うことではありませんね。
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