今日は大物猟が中止になったので鳥撃ちにGO!
長細い形状の池を親父と挟み撃ちにして鴨を狙います。
池の土手に私がメインの射手として待機し、反対の池上の林から親父が勢子役で追い出して撃ち獲る作戦です。
配置に付き、私が土手にジッと伏せて待っていると、親父方向から何発もの銃声!
「あれ?早すぎるぞ。オレの気配が気取られたのか猟期中盤になって鴨がスレたのかは分からないけど、いつもは飛ばない方向へたくさん鴨が逃げたな」
水面で休んでいる鴨は飛び立つ時に羽根が木の枝に引っ掛かるのを嫌い、大抵視界の広い土手方向に飛び立つのです。
親父の銃声が鳴り響く中、少しだけ土手から顔を出し、水面を見張りながらそのままジッと待機。
銃声を聞いて危険を察知した数羽の鴨が親父の方向を避け、私のいる土手に向かって飛んできます。
ドカドカドカッ!!っと3連射!
なんとかカルガモ1羽ゲット。

(ピンボケでごめんなさい)
親父は多数の鴨を落としたようで、イングリッシュポインターのミックとブリタニースパニエルのジャンをいったん車に載せ、回収のために親父と合流します。
「4羽落とした。半矢で水中に落として潜った鴨もいるから回収に手間取るかもしれない」
ミックとジャンが水面や林の中から3羽までは楽々と回収。
そして残りの1羽を回収しようと林の中を進んでいると、信じられない光景を目撃します。
前を行くジャンの側のブッシュで何かが動いたのです。
「なんだ!? ウサギでもいたのか?」
ところが動く物体はガバッと立ち上がり、小山のような大きさに!
70kgを超えるであろう大きなイノシシ!!
林道を横切り、近くの女竹の藪の中にバリバリと音を立てて消えて行きました。

ジャンはイノシシを追って行ったので急いで呼び戻してリードに繋ぎます。
鳥猟犬がイノシシを追って牙で切られてケガをしたり、自分の獲物と認定するとまずいのでミックと共に車内のゲージに載せます。
特にイノシシが臨戦態勢で猟犬と絡んでいたりしたら助けるために撃たざるを得ませんし、撃ち倒してしまうと猟犬にとっても「これはオレが追うべき獲物だ!」となってしまいます。
そして親父と話します。
「あれだけバカバカ撃ったのに何故あんな大きなイノシシが逃げもせずにこんな狭い場所に潜んでいたんだ?」
と言うのもこの場所は池の上にある20メートル×30メートルくらいの小さな林で、とてもイノシシが潜んでいるとは思えないような狭さだからです。
しかも牧場のフェンスと池に挟まれているので逃げる場所もほとんどありません。
「よし、人勢子でオレが踏み出しちゃる!親父は一本通しの向こうで待ちを張ってくれ」
「わかった、無理はするなよ」
作戦会議をして直ちに配置に付きます。
こういう時に二人ともいつもは大物猟をしているので話が早い(笑)。
イノシシが逃げた場所から足跡のトレース開始!
弾をスラッグ弾(一発弾)に入れ替え、ゆっくりと忍び足で先ほどイノシシが通った女竹の林を追跡。
「デカい足跡。やはりかなりの大きさだ・・・。しかしフェンスで囲まれたこの狭い林の中にいることは間違いない」
逃走経路も限られているし、半分以上は「もらった!」というような心境で斜面を登りますが、女竹の向こう側には腰丈以上の深さのシダ藪。
足跡はそのシダ藪に続いています。
シダ藪は7~8メートル四方ほどの面積。
「こんな所にこんな深いシダ藪があったんだ。これが寝屋だな」
銃の安全装置を解除してシダのトンネルを凝視。
少しでも姿が見えたら撃つつもりで銃を構えて息を殺しますが、5分ほど待っても全く気配なし。
ここで少し思案。
「獲物が見えないから撃てないしどうしよう・・・。
トンネルの中を這い進んでもイノシシが捲ってきたら瞬時に頸動脈を切られる可能性が高い。ダメだ。
立ったままシダ藪を押し広げてイノシシを追い出すのはどうだ?いや、あれだけ近距離に竦んでいたイノシシだからいきなり捲って来て、腿の内側の動脈を切られる可能性がある。これもダメだ。
知っているハンターで大きな石を投げこんで奇声を上げて追い出したという話も聞いたことがあるけれど、そんなに都合よく大きな石が転がっているわけではない。これもダメ・・・。
竹竿を作って突きまわってみるか?しかしそれじゃ両手が塞がって肝心な時に銃が撃てないぞ。これもダメ・・・」
そんな事を考えている間に風が吹き、竹の幹がカチカチとぶつかる音。
まるで牙を擦り合わせるイノシシの威嚇音に聞こえてきます。
「こんなことをしている瞬間にもイノシシが目の前に飛び出してきそうだ・・・」
努めて冷静にと自分に言い聞かせますが、恐ろしくて流れる冷や汗。
(一枚も写真を撮っていないことから私がどれだけ緊張していたのか分かっていただけるでしょうか)
「ああ、こんな時にふじ(飼っているイノシシ犬)がいてくれたらなぁ・・・」ついつい「たられば」の弱音が心を過ぎります。
「そんな非現実的なことを考えるのはよそう。ふじはここにはいないんだ」
この時点で自分の心が折れたことを自分で素直に認め、無理は禁物と判断。
親父に撤収する旨を伝えます。
残念!
この日は鴨が豊猟で私は定数ゲット。

(別の場所で親父の獲った獲物と一緒に撮影)
マガモとカルガモを2人合わせて8羽。
帰途の車中で話します。
「なあ、あそこの池は親父と鳥撃ちの猟友の方がいつも撃っているだろ?今日みたいに半矢で回収しきれない鴨もいるよな。
あの大きなイノシシはもしかしたらその鴨を食べるために居着いていたんじゃないか?
そうじゃないとあれだけ銃声がしたら普通は逃げだすだろ。だけどあのイノシシにとってはそれがご馳走を食べることのできる合図だと認識していたとしたら・・・」
「可能性はあるな。そうじゃないとあんな場所に居着くとは思えん。滅多にあちら側に鴨が飛んでくることもないから林の方には犬も入れないしな・・・」
全ては想定の域を出ませんが、大きなイノシシがいたのは事実です。
しかしまあ、あの時点でベストな選択だった・・・。
イノシシを撃ち獲っていたりしたら話のネタにはもってこいでしょうが、楽しむために行ったのに無理をしてケガをしてもしょうがないし。
猟に行くと色々なことが起こります。
今日も自然の恵みに感謝です。
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