さぁ~って、残り少ない猟期だけど頑張りますかね!
(私の住んでいる地域では、増えすぎたイノシシと鹿に限っては猟期は3月15日まで)
今日は午前中に70kgのイノシシをゲットしているし、次は小さな山なので使役する猟犬はふじ一頭のみ。
「さあ行け!ふーちゃん♪」

尾根まで上がってふじを解き放つと、ジャングルジムのような孟宗竹の間を矢のように走り抜けて行きます。
途中の通し(けもの道)には70~80kgほどの大きさのイノシシの足跡がくっきりと残され、タケノコを食べて地面を掘り返した痕跡もそこらかしこに。
「いる感じ・・・」
と思っていたら、ものの5分もしない内にふじの起こし鳴き(獲物を発見しての吠え鳴き)。
ウォッ!ウォン!!ウォン!!そして数発の銃声。
「どうなった?」
「ふじが池淵の泥の中で半矢のイノシシと絡んでる!」
親父からの連絡。
「頼む、早くイノシシを止めてくれっ!!」
手負いになった半矢のイノシシと格闘している時が一番犬が受傷しやすい時でもあるし、泥の中で犬の足も取られて動きが鈍くなるので危険も倍増します。
急いで現場に向かっている途中、更に数発の銃声。
「どうなったんだ!?」
「沈んだ・・・」
「・・・」
現場に向かうとこんな感じ。

数人のメンバーの方が集まって来ています。
ふじは無傷でしたが、手傷を負って水中に追い落とされたイノシシが泳いで逃げようとした途中で沈んでしまったとのこと。

(木の下の黄色部分)
鉄筋で錨を作って投げ入れてみますが、木の枝が邪魔で上手く投入できず・・・。
竹を切って長い竿で水中を探ってみますが水没地点には届きません。
その間にふじを車のゲージの中に入れようとしますが、いつもは聞き分けの良い犬なのに、今日は頑として拒否!
「あのイノシシはどうなったの?」
その眼はそう訴えているようでした。
「そうだよな、ふじが頑張って追い出してくれたんだもんな・・・。ふぅ、しゃーない・・・」
メンバーの方に自分が潜って引き上げて来ることを伝え、必要な準備を手伝ってもらいます。
こんな日に限って私の車は車検でこの日は代車。
「くそ、自分の車の中になら水中マスクもフィンも着替え一式も積んでいるのに・・・」
と思いますがしょうがありません。
自宅が近いメンバーの方にバスタオルなどを取りに行っていただき、水中マスクはメンバーの方のお友達からお借りしてきました。
池干しに立ち会ったりして池の地形に詳しい方に話を聞いてみると
「あの木の枝くらいまでは平坦な感じ。ちょうどイノシシが沈んだ場所くらいからすり鉢状に傾斜が付いている」
とのこと。
「本当に入るのか!?」
と心配するメンバーの方々が見つめる中、再度沈んだ場所を確認。
「本当に入るのか、オレ!?」
と、自分でも思いますが、ポカポカと小春日和でもあったし、山を駆け回って暑かったし「なんとかなるでしょ!」と思い水に入ります。

水の中に木の枝なんかもあるし、ケガ防止のために山に入ったままの恰好でジャブジャブと進みます。
「うう、冷たい。相当に冷たい。考えてみりゃまだ2月だし、先週はかなり気温が低かったから当たり前か・・・」
イノシシが沈んだ辺りまでゆっくりと足先で探りながら進みますが反応はありません。

大きなイノシシだったから、触るとすぐに分かるはず。
考えられるのは水中に沈みながらもがいて深い場所に移動したこと。
一旦水際まで戻り、鉄筋製の錨を括り付けた竹竿を手に持って再度入水。
「活動限界まであと5分・・・」
水の冷たさに筋肉が引き攣りそうになりながら、体の限界時間が近付いているのを感じます。
先程よりも更に深い場所を竹竿で探って行きます。
「なるほど、この辺から急に傾斜が付いて深くなっているな」
そうしてつま先立ちで半分顔を水に浸けながら、更に深い場所を竹竿で探っていると確かな手応え!
どこの部分かは分からないけれど、鈎先に引っ掛けてその物体をゆっくりと引っ張りますが、途中でフッと軽くなります。
「見付けた!もう後は再度引っ掛けて上がるだけだ」
と思って同じ場所を竹竿で探りますが、確かにその場所なのに何も手応えがありません。
「しまった!少し動かして鈎が外れた拍子に斜面を滑って沈んでいる!!」
水の冷たさも限界。
もう迷っているヒマはなく、竿先に何かが触った場所辺りに潜ります。

濁った水。
どこが水底なのかも分からないまま、泳ぎなれない山行きの服でバタつきながら潜行。
僅か2メートルほどの深さでいきなり目の前に現れた毛の塊。
ギョッとしつつもそれがイノシシの毛だと分かり、引っ掴んで水面に浮上!
(イノシシの毛で良かった。これが人毛とかだったら気絶しています)
息も水の冷たさも本当にもう限界。
水面に顔を出して呼吸をし、大きなイノシシをゆっくりと引き寄せ足の付く場所まで移動。
それからようやくイノシシを水面に浮かべ、見守ってくれていたメンバーの方に見せます。
「見付けたよ~っ!!」沸き起こる拍手喝采♪
V!!
やった♪
計量するとちょうど80kg。

ふじにも確認させますが「こんなに匂いが薄い獲物じゃなかったわ」と、ちょっと不満そう(笑)。
まあまあ、ふじも頑張ったけどオレも頑張って引き上げてきたんだから我慢してよ。
水から上がるとすぐに着替え(着替えは親父が一式持っていたので借りました。少し小さいけど)、解体の時は芯から冷えた体を温めるためにストーブにあたらせていただきました。
「オレは今日初めて河童というものを見たぞ!河童はキュウリが好物だなんていうけれどありゃウソだ・・・。
大きなイノシシを引っ掴んでなぁ、嬉しそうに水の中を泳いでた。河童は肉食で好物はイノシシだ!恐ろしかったぞ~っ!!」
そんなバカ話をしながら、その日の山の神様祭りは大いに盛り上がったのでした。
今日も自然の恵みに感謝です。
(皆さん、マネしないでくださいね)
狩猟の魅力まるわかりフォーラムHP↑会場でパネル展示していただいています。
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