私のブログで、何回か「止め刺し(ナイフで半矢の獲物のとどめを刺すこと)」をした経験をアップすることがありました。


狩猟経験が3年という若輩者ながら、今猟期は苦戦しながら
暴れるイノシシも止めることができ自分なりの成長を実感できている次第です。

「猟銃を持っているのだから、そんな危険なことはしなくてもいいだろう」
と思われる方も多いかと思いますが、猟銃が撃てないこともしばしばあるのです。
銃を撃てない大きな理由は、猟犬とイノシシの格闘にあります。
死を覚悟した半矢のイノシシに犬が絡み、誤射の危険性が高いからです。
「いや、しっかりとイノシシを狙って撃った!」
と言うような状況でも貫通した弾によってイノシシの影に隠れた犬に中る可能性もあるし、貫通した跳弾の危険性や中った骨によって弾丸の軌道が変わることも考えられます。
それにとにかくホンの少しでもイノシシや犬が動けば、瞬時に着弾点の状況が変わります。
猟犬を飼い、使役して山を駆け回ってくれる勢子役から見れば、自分の育てた猟犬は家族も同然です。
仮にイノシシとの格闘中に、どうしようもない状況で犬に弾が中るような結果になっても
「いいさ、いいさ。どうしようもない状況だったのは分かっている」
と言ってくれるかもしれません。
でも、そこにはどうやっても消えないシコリが残ることでしょう。
好きで狩猟をしているのに、そんな事になっても気まずい思いをするだけです。
猟犬に怪我をさせないために刺し止めをする必要があるのだと感じた猟期の経験でした。
また、そういうことを感じるのは、幼少から親父の狩猟体験談を聞いて育ったことも大きな要因です。
「オレが大物猟の修行をさせてもらった所は、昔ながらのしきたりが色濃く残っている場所で、修行中はとにかく撃って褒められた事がなかった。
外したと言っては怒られるし、倒しても中り所が悪いから肉がダメになる、必要以上に撃つと血肉(血液が回った状態の不味い肉)が増えると言って叱られた。
オレはそんなことが無いように気をつけていたけれど、犬に絡んだ獲物を撃ったりする人は長老や勢子から激しく責められた。
そんな感じだからイヤでもナイフを使っての止め刺しを習得した。
そうやって自分の経験から試行錯誤して作ったのが
今の大物猟用のナイフさ。」
親父の世代のハンター達が狩猟を始めた頃は、今のようにイノシシや鹿は個体数が多いわけではなく、見上げるような大きな山のほんの一部にしか生息していなかったものです。
(今ではそれらは爆発的に増えて、「え!?こんな場所にいるの?」というような市街地の近くの茂みのような小山に生息していたりしますが…。)
だからイノシシや鹿を狙う大物猟は狩猟の中でも特別なものであったし、趣味というよりも肉を得るという「食料捕獲のための手段」としての意味合いが強かったようです。
また、お肉を美味しく食べると言う点からも、しっかりと血抜きをすることは有効です。
きちんと血抜きをした肉としていない肉では味が全然違いますから。
遊びである狩猟でケガの危険を犯してまで止め刺しをする必要はないのでしょうが、犬に対する安全面からもお肉を美味しくいただく為にも、私はやはりナイフを使っての止めを上手に出来るようになりたいですね。
数えるほどしか止め刺しの経験がないので大きなことは言えませんが、特に相手が大きくなるとビビッてしまって上手く急所に刺せなかったので、次に大きな獲物を解体する時には急所と骨の位置関係をしっかりと再確認しておこうと思います。
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