猟期が終了する3月15日までもう幾日も無い3月12日のこと。
いつものように大物猟に出猟です。
今年もたくさん獲物との出会いはあったけど、まともなサイズのイノシシは撃てなかったなぁ。
鹿も撃ったけど、自分一人で倒した獲物はなかったし…。
倒したのはチビッ子イノシシが1頭のみ。
まぁ、それでも何度も獲物を見ることが出来て、撃ちかけることができただけ上出来か…。
グループ猟では、親方の配慮で全員に平等にチャンスをもらえますが、どうしても運・不運があって、人によっては全くツキがない年回りもあります。
そんなことを思いながら見切りをし、待ちにつきます(笑)。
今日の待ちはこんな感じ。


山中の杉林の中を何本もの獣道が通っています。
向かって正面の山から来る獲物を待ち受ける作戦です。
両隣の待ちのハンターとは100メートル以上離れていて、互いの位置を確認。
私の位置からはどの方向も矢先の安全が確認でき、かなり広い守備範囲です。
先輩ハンターの方から
「そこからだったら見える範囲は全部撃てるからな。獲物が来たら思い切って撃て!」
とのアドバイス。
勢子が犬を放すまで少し時間があったので、周囲を歩いて獣道を丹念に調べます。
よく獣道を使っていますが、細長い鹿の爪跡ばかり。
コロコロした小豆のような真新しい鹿の糞もたくさん落ちています。
「こりゃー、獲物が出ても鹿だな」
繁ったブッシュの間や林の暗い場所を好んで逃走する猪と違い、透けた感じの山の様相から見ても鹿が出てくる気配が濃厚な場所です。
何本もの獣道の中から真新しい足跡がたくさん付いているものを本命と見て、撃ちやすい場所に身を潜めます。
勢子が2方向から犬を入れスタート。
勢子の一人は私の真正面から犬を入れ、ヒョイヒョイと急斜面を登って行く姿が見えます。
「この急斜面なのに、なんていう身軽さだろう!」
とても還暦を過ぎた人間とは思えません。
ハンターになったばかりの新米としては、やはりハンター(特に山を駆け回る勢子)というのは現代社会において特殊能力を持った人種だと感心します。
20分ほど経って遠くから犬の吠え立てる声。
「獲物出てるよ!みんな気を付けてよ!!」
勢子の無線連絡。
しばらく犬の鳴き声が聞こえていたけれど、じきに鳴き声が聞こえなくなります。
どうやら犬が獲物の匂いを落とした(見失った)感じ…。
と同時に、
「パシッ」
私の待ちの遥か上方でかすかに枝を踏んだ音が聞こえたかと思ったら、山頂近くからイノシシが物凄いスピードで真っ直ぐに駆け下りて来ています。
「鹿じゃなくてイノシシっ!?」
自分の読みが外れたので少し慌てましたが、真っ直ぐに走って来るイノシシの姿をじっくりと見ることが出来たので落ち着きを取り戻します。
「まだまだ、ギリギリまで引き付けろ…」
据銃して走って来るイノシシに照準を合わせたまま自分に言い聞かせます。
「まだまだ遠い…、まだ我慢しろ!」
真っ直ぐに登って来るかと思ったイノシシは、谷底近くになって右側に進路を変えます。
距離40メートル。木立の間を縫って1発目を発射!

2発目を追い撃ち!
中った感じだけど倒れない…。

撃てる弾はあと1発…。
遠ざかるイノシシに向かって引き金を引きます。
「お願い!倒れて!!」

撃った瞬間にもんどりうって倒れるイノシシ…。

(写真中央の木の向こう側)
すぐに銃に弾を込め、倒したイノシシが動いていないことと続いて獲物が来ないかを確認。
確認してから「倒しました」と無線連絡。
それから血抜き。

いつもは3発撃って3発丸外しということも多い私ですが、珍しく3発撃って3発中っていました(笑)。
1発目は腹腔、2発目は横隔膜、3発目に肩甲骨。

61kgのオス。
皆勤賞で出猟していますが、ようやくまともなサイズのイノシシを倒せました。

いよいよ最後になってイノシシの単位が取れ、みなさんから祝福していただきました。
みなさんのおかげです、ありがとうございます。
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