今日も大物猟。
鳥猟用の犬がいるのになぜ大物猟ばかり?と思われる方もおられるでしょうが、グループ猟は自分の好き勝手に行ったり行かなかったりすると、それだけで他の人に迷惑をかけるし、真から仲間としては認めてもらえません。
しかし、雨や雪の日は大物猟は休みになるので、その時に鳥猟に出る予定です。
(親父は自営業なので平日に鳥猟に行っていますが…。いいなぁ~)
今日の見切りでは、大物が数頭山に入っているようです。
比較的撃ちやすい待ちに付かせてもらい、隣の待ちには親父が付きます。
私の待ち場は、正面15メートルに小高い孟宗竹の林があって、そこから少しひらけた藪。
その中を獣道が10メートルほど伸びていて林に駆け上がっているので、その林の中で待機。
前日のような失敗を繰り返さないように、何度も頭の中でシュミレーションをします。
勢子が犬を離してしばらくすると、犬の吠える声と首輪に付けた鈴の音が近づいてきます。
「来るか!?」
と銃を構えていると、ドゴーンッ!と銃声1発。
「倒したよ~」と親父からの無線連絡。

78kgのオス。(写真は猟が終了後撮ったもの)
イノシシが複数いるので、そのまま待機。
すぐにまた犬の鳴き声。
同じ場所で何頭もの犬が激しく吠えています。
犬がイノシシを鳴き止めているようです。
勢子の人が追いつき、1発の銃声。
「銃が回転不良を起こした!そっちに行ってるよっ!」
すぐにイノシシがバキバキと音を立ててやってきました。
孟宗竹の林の中をバカでかいイノシシが弾丸のようにやってきます。
「デカイ!90キロあるんじゃない?」
林を突きぬけ藪の中を駆け抜けてきます。
ピタリと狙いを付け、林に入る手前の7メートルの地点で発砲!
「当たったっ!!」
イノシシの体が真横になる4メートルでもう1発!
今度はハズレ。
2発目の発射の時、下顎の付け根に弾を受けた跡がはっきりと見えました。
そのまま逃走したことをすぐに無線で伝えます。
イノシシが向かった方向から2発の銃声。
「抜けられた!」との連絡。
イノシシが逃げた山道を見ると、かなりの血痕。
一番健脚の若手の勢子が、血痕をたどって追っています。
すぐに待ちを解きイノシシが逃走した山に包囲網を張り直します。
前日、勢子の人と話をしていて
「手負いになった獲物は、意外なほどに獲れないんだ。
犬が匂いを取れなくなるんだよね。血の匂いが強すぎて、犬の鼻が麻痺するのかもね。
それに致命傷になってない場合、2つも3つも山を越えて行ってる場合も多いし」
なんて聞いたばかりでした。
かなりの時間探索が続いたのですが、犬がバテてしまっているのと獲物の大きさから判断して中止。
手負いになった獲物に犬が追いついた場合、犬に体力が残ってないと怪我をさせる可能性が大きいからです。
自分の腕の未熟さ。
山の中を走り回ってくれた勢子の人達。
自分の何倍もの大きさのイノシシに勇敢に立ち向かっていく犬達。
何よりも半矢にしてしまったイノシシ。
色々な思いが頭の中をグルグルと廻っていました。

親父の撃ったイノシシは牙が大きかったので取り出しました。
今日の悔しさを忘れないために持っておこうと思います。