猟期最後の一日、ちょっとお祭り的な感じで去り行く猟期を惜しむようにハンター達が集う終猟日。

「今日で終わりだね~」
「今年も色々あったけど、あっという間の4ヶ月半だったね」
という会話が飛び交います。
例年この時期には獲物の影が薄くなり、競る場所を決めるのにも一苦労するのですが、今年も例外ではありません。
「大体獲り過ぎなんだよね~」
なんて言いながらも、捻り出すように獲物の痕跡を見つけてくる先輩ハンターの皆さん。
今日でまた暫く狩猟が出来なくなるかと思うと本気モード全開です(笑)。
今日の待ち場はこんな感じ。

大きな山へ繋がる最終防衛ラインの一つで、竹藪の中から走り出てくるイノシシを瞬時に見分け撃ち取らなければいけないちょっと難しい場所。
勢子役が猟犬を放つと、見切りの時に見立てた通り複数の親子イノシシの群れが出ます。
何度かの銃声。
何頭もの獲物が出ているようですが、しかし「倒した」という連絡は来ません。
「猟期も終わりだからイノシシも追われ慣れ、知恵がついて上手く勢子も猟犬も待ち(狙撃手)もかわしながら逃げているな。
しかし絶対に大山へと逃げ込もうと突破口を探しているはず…。必ずこの近くを通るからチャンスはある」
などと思っていたら、隣の待ち場から
ドカドカドカッ!と3連射の銃声!
「半矢で突破された!小さな獲物だけど犬が3頭追っている」
先輩ハンターからの報告。
半矢の獲物を追って動くことを連絡し、犬が向かった方向へと急ぎます。
その方向は競ったことは無いけれど、見切りのために度々歩いた場所でした。
何度も葛の蔓で足を取られそうになりながら現場に着くと、細い女竹がびっしりと生えた藪の中にトンネル状の獣道。
その中で猟犬とイノシシが交戦する激しい鳴き声。
以前似たような状況でトンネルの中を這い進んだことがありましたが、勢子役の方と話をした時にその行為が如何に危険なものかを教えていただきました。
「オレも同じような状況になったことがある。オレは銃を持って這い進んだ。
そうしたらイノシシが突進して来て捲られそうになった。
手を伸ばせばイノシシに触れるような距離で相手が引き返してくれたけどな。
とても銃を撃つ暇なんてない。
その時に初めて自分の頚動脈がイノシシの牙に晒されている事に気付いたんだ。
本当にゾッとしてすぐに引き返した」
今回も以前トンネルを這い進んだ時や先輩ハンターから聞いたものと全く同じ状況。
「どうする!? 逃げたのは小さいイノシシという連絡だったけど、途中で大きなイノシシと入れ替わっていることも充分考えられる…。
だけど迷っている暇はない」
銃を片手に持ち、片手と体で竹藪を押し広げるようにしながら犬の鳴き声方向へ突入。
中腰で藪漕ぎをしながら進むと遠ざかる犬の声。
「くそっ!あと少しだったけれどイノシシに気付かれた!!」
藪から抜け出し再度犬の声を追跡。
今度は雑木の藪の中。
3匹の猟犬が同じ方向に向かって吠え立てています。
「犬が藪の中でイノシシを立てている(鳴き止めている)時は犬の吠えている方向にイノシシがいる」
勢子役の言葉を思い出します。
忍び足で駆け寄ると、人間の援軍に気付いてパッと飛び退く猟犬たち。
藪の中にイノシシの姿。
発砲!!勝負あった!

20kg切れるくらいの小イノシシ。

「小さいイノシシだけどなんとか倒しました。犬も無事です」
緊張感から解放され一安心。
「おう!お前も腕を上げたな、頼りになるようになった」
先輩ハンターからのお褒めの言葉。
倒したのは小さなイノシシだったけれど、自分の足で山を歩き、先輩ハンターの皆さんからたくさんの事を教えていただき、色々な経験を積んだおかげで獲れた一頭でした。
いつもは「撃たせてもらっている」に過ぎない獲物ですが、今回は少しだけ自分の進歩を実感できたかな。
様々なことで壁に当っていることが否めない5年目の猟期でしたが、最終日にしてそんな体験が出来て本当に嬉しかったです。
皆さんありがとうございます!また来年!!
などと有終の美で締め括ろうと思っていたら、解体作業後の道具を洗っている最中にスマホを用水路に落として水没させてしまいました(涙)。
トホホ。
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