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食べる事と、命をいただく事について考えます。 狩猟、素潜り、釣り、採集、手作り等々

夏ミカン狩りに行き、第一次産業について考える…

友人御夫婦から、例年お誘いをいただいている夏ミカン狩りに行ってきました。
2022.05.10夏ミカン2

ここの夏ミカンは素晴らしく美味しいのです。

近隣にたくさん夏ミカンを植えている農園があるけれど、猿やイノシシやアナグマやアライグマやカラスやヒヨドリが真っ先に狙うのがこの農園。
2022.05.10夏ミカン5
(これは別の時に捕獲されたアライグマ)

野生生物たちも美味しいものは良く知っていますね(笑)。
2022.05.10夏ミカン3
(これはカラスに啄ばまれたミカン)


脱サラして専業農家として柑橘類を作っている友人御夫婦ですが、今年は少し異変が…。
昨年、旦那さんが髄膜炎(脊髄に雑菌が入る病気)になり、ほとんど寝たきりの状態に。

しかし治療が功を奏し、重いものを持ったり前屈みになるのは無理ですが、なんとか農園に出られるまでに回復されたとのこと。
「なんとか間に合ったよ!」
「おお、良かったですねぇ~♪」

しかしやっぱり重労働である、ミカンの収穫や出荷作業は出来ず…。
かと言ってそのまま放置しておくと、近隣の野生鳥獣を呼び寄せることになるので、生った実は収穫して持って帰って欲しいとのこと。

「本当にねぇ、動物や鳥も食べるだけなら黙って持って行っても良いんだけど、イノシシは苗木の枝ごと折っちゃうからね…」
2022.05.10夏ミカン4
(中央部分がイノシシに折られた枝)


参加する皆さんが集合するまで、ミカンの木の下で夏ミカンを食べながら暫し談笑。

青い空にミカンの黄色、葉っぱの緑色、可憐な白いミカンの花が映えます。
2022.05.10夏ミカン6

「さぁ~って、始めようかね!!」
メンバーが揃い(皆さん猟友会の若手。と言っても平均年齢50歳くらいですが…)、収穫のためにミカンに木の下に入ると、爽やかな柑橘類の香りに全身が包まれます。
2022.05.10夏ミカン1

高枝切りバサミで収穫しながら、美味しさの秘密を教えていただきます。

「ウチのミカンは摘果して一本の樹に実らせる果樹の数も少なく、木の枝を適度に間引いて風通しや肥料の効きを良くしている。だからミカンの一つ一つに栄養分が行き渡るんだ。

それに多少皮の表面がデコボコしたり色が付いたりするけれど、樹に付いたまま完熟させるから甘いの。
(一般的なものは表面がきれいなうちに収穫して追熟させるそう)

あ、そうそう。成熟した古い樹が多いのも美味しい理由だよ。若い樹に生る実は、やはりそれなりの若い味にしかならない」


休憩をはさみながら、フウフウと汗をかき、上を向いて大きな夏ミカンを収穫します。

次第に首や肩の筋肉は固まり、高枝切りバサミを握りしめる掌の握力は無くなります。
何度もやるけれど、相当な重労働だと思います。
(私はとても好きな作業なので集中して楽しめます)

「本当になぁ、農家さんにしても漁師さんにしても畜産業の方や林業の方にしても、第一次産業は超が付くほどの重労働だと思う。
でもそんな方々がいるおかげで、皆さん健康で文化的な現代生活が享受出来るんだよなぁ…」

それは猟期に山中をヒーヒー言いながら駆けずり回って、僅かな肉を不安定的に食べている自分にとって、実感として思わざるを得ません。


この農園に生る柑橘類も、契約農家として多くが料亭などに引き取られていましたが、コロナ禍で需要が全く無くなってしまったとのこと。
「食べる人がいるなら全部引き取ってね。どうせ出荷する先も無く、腐らせるだけだから…」


脱サラして専業漁師になったけれど、コロナ禍で自分の漁船を売らざるを得なかった私の兄貴の姿と重なります。


「本当になぁ、何十年もかかってこんなに美味しいミカンを作って来たのに…」

ありがたく大量のミカンを頂戴して車に積み込みながら、流れる汗に紛れて目から少し塩水が出ていたのは内緒です。


コロナ禍で営業自粛を求められた飲食業界だけではなく、それを支えていた第一次産業の方々や関係業界の方々にも手厚い保障がなされることを願って止みません。


今日も自然の恵みに感謝です。


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コメント
No title
御兄様、脱サラ後の漁師だったのですか...
新しい分野で御活躍されている事をお祈りいたします。
一次産業の皆さんは、お金の事だけを考えていたら本当にやっていけないと思います。
信念、とでも言うのでしょうか、歳を取って来てから、その重大さが解ってきたような気がします。
2022/05/11(水) 10:12 | URL | dohira #-[ 編集]
同じ狩猟者(駆除がメインです)としてブログ読ませていただいています。
我が家は米農家ですが、コロナ禍によって売上も栽培契約量も激減しました・・・補助金はあまり無いです、、、
祖父の代から米専業農家でしたが、来年度は面積を半分以下に減らし、会社に勤めて兼業農家になる予定です。
米の消費量自体も減っていますし、自分の生活費を維持するためにはこれが一番と考えました。
コロナ禍は日本の農業流通も変えてしまいましたね
2022/05/11(水) 18:54 | URL | らいここ #-[ 編集]
dohiraさん
はい、そうなんです。
そりゃ、新型コロナなんていう未知の病気が流行るなんて思ってもいませんし、天変地異なんかも起こりうる危害だとは思います。

しかし飲食業界だけではなく、本当に夢も希望もヤル気も実力もあって転職しても、あおりを受けて苦労している産業がたくさんあることも知って欲しい。
そしてそのことをメディアは伝えて欲しい。
そう思います…。
2022/05/12(木) 23:03 | URL | じゃん #-[ 編集]
らいここさん
はじめまして!コメントありがとうございます♪

そうですか、らいここさんも同じようなご苦労をされているのですね。
本当にねぇ、この現実を広く知って欲しいと思います。

今は「原材料費や燃料費の値上がりで、食品販売価格の値上げが財布を直撃!!」なんていうニュースが結構流れていますよね。
スマホや自動車なんて価格が上がっても何も言われませんし、庶民の給料がずっと上がらないのに、偏重報道ばかりでなんだかとてもおかしいと思うのです。
2022/05/12(木) 23:10 | URL | じゃん #-[ 編集]
耕作放棄果樹
どこも同じような現状ですよね。
丹精込めて育て上げてきた果樹。
それを人手が確保できないが故に手入れや収穫がままならなくなる。
「食べる人がいない」も厳し過ぎます。
カラスが食べるくらいだから、よほど甘いのでしょうね。
お兄さんは船を処分されてしまったんですね。
コロナ禍でどうなってしまったんだろうと気になっていただけに残念でなりません。
じゃんさんの「塩分」も頷けます。
2022/05/14(土) 10:12 | URL | あっきょ #-[ 編集]
No title
兄さんコロナのせいで、えらい目に遭われたのですね。

こりゃ兄弟でハンターも、いいのでは?
2022/05/16(月) 15:28 | URL | rossi #-[ 編集]
あっきょさん
ええ、なんだかこんなに急激に生活様式が変わるなんて思ってもいなかったです。
第一次産業の方々の長年の努力と苦労を思うと、やっぱりなんだか泣けてきますね…。
2022/05/18(水) 23:08 | URL | じゃん #-[ 編集]
rossiさん
いいえ、ハンターなんてまったく生活が成り立つようなものではありません。
あくまで趣味の範疇ですね。

毛皮獣やジビエ肉が貴重品でもてはやされた時期は職業としていたプロハンターもいたようですが、今はとてもとても…。
2022/05/18(水) 23:12 | URL | じゃん #-[ 編集]
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プロフィール

じゃん

Author:じゃん
幼少時より食い意地の張った子供で、今でも野生の動植物を見る時には
「美味いか不味いか?」
が大きな判断基準を占める。

素潜り、釣り、手づかみなど様々な方法にて「タダの食料」を捕獲することに情熱を燃やしています。
2009年より狩猟界にデビュー。タンパク質自給率100%達成なるか!?

E‐mail
capturefood@yahoo.co.jp
お気軽にメールくださいね♪

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