「獲物(イノシシ)の痕跡が消えた…」
メンバーの皆で各地を見切りますが、カセギ(エサを食べた痕跡)もヌタ浴び(ダニなどの寄生虫を落とすための泥浴び。イノシシのお風呂)した跡も生足(前日に移動した生々しい足跡)もほとんど発見できず。
「獲りやすい山の獲物は獲り尽くしちゃって、見上げるような大きな山奥まで避難しているんだろうなぁ」
例年のことですが、この時期は獲物の痕跡が薄れてそんなことを考えます。
「場所を大きく移動して鹿でも追うか」
そんなことも考えましたが、気になることが…。
小さな山のヌタ場が濁っていて、山へ続く斜面に一つだけ生足が残っていたのです。
(その後の道はフカフカの落ち葉に隠れ、ハッキリとは分かりませんでした)
念のために勢子役達にも足跡を見てもらい確認します。
「夕べの痕跡に間違いない。カセギは見つからないけど近くにいるはず」
「小さな山だけど孟宗竹の藪は深い」
「過去の実績も申し分ない場所だ」
皆で作戦会議。
「大きな山を競っても時間ばかりかかるだけだ。ここは自分たちの見切りを信じよう!!」
と、親方(若き勢子)の決断。
そうと決まったら素早く弓(射手が待ち受ける包囲網)を張ります。
そして放たれる猟犬達。

寝屋のある場所を一回り猟犬達が探索し終えますが反応なし。
「ダメか…」
無線で状況を伝える勢子役も、受信する待ち役にも半ば諦めムードが漂います。
ギャンギャンギャンッ!!しかし突如として山の静寂が破られ、山間に猟犬達の啼き声が響き渡ります。
「啼いたよ!!獲物出したから気を付けてっ!!」
カシャッカシャッ…。私の所属する猟隊では喋って気取られないように、「了解」の時には無線のptt(プッシュトゥトーク)ボタンを無言で2回押します。
カシャッカシャッカシャッカシャッカシャッ…。などとたくさん鳴らせば「獲物が出て近くにいるから黙っていてくれ」等の合図。
バキバキと枯竹を踏み割る音と共に高まる緊張感。
ドゴーン!!しかし待ち役に行き付く前に、勢子役が仕留める結果となりました。

60kg超えのよく太ったメスイノシシ。

この時期としては上出来の獲物。
「獲物の痕跡が全くない」
なんて言っても、山の奥から捻り出してくる感じ。
「足跡一つ残しただけでお前も災難だったなぁ」
そんな事を言いながら皆で解体作業。
「それにしても凄い先輩方だよ…。たった一つの足跡だけで結果出すもんなぁ」
自分の未熟さを恥じ、素直に感服。
今日も自然の恵みに感謝です。
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先輩方の経験の賜物ですね。
私も同じようなことがありました。
御年86歳になる勢子&見切り師匠が、たった一つの足跡で「居るぞ」と。
見切ったとおりのイノシシでした。
私も何とか・・・
そもそも、その年のまで生きているだろうか。。。
只々ビックリするばかりです。
「その領域まで行き付けるのだろうか」
と考えますが、出来る限りフィールドに出て精進あるのみですね!!
バンバン撃って下さいませ。