ヒマな時には刃物を砥ぐことが多いです。

(砥石の左の2本がイノシシ猟でメインに使っているナイフ)
魚や獣を捌いた後には必須ですし、毎日使う料理包丁もちょっと仕上げ砥石をかけるだけで剃刀の様な切れ味を取り戻します。
刃物の地金と砥石の相性や、仕上げ方によっても変わるので、(機械回転式のものを含めて安物ばかりですが)それなりに多くの砥石を持っているほうかな。
まずはしっかりと水分を浸透させ、砥石用の削り砥石で表面を平らに馴らします。
(この作業は研いだ後も行いますが、乾燥させると微妙に歪むことがあるため)
刃先と砥石の触れ合っている面積がどれくらいなのかは分かりません。
しかし砥いでいる最中は、刃先と砥石の接合面の感覚に相当に集中しています。

私の場合、狩猟で使っているナイフは親父が作ってくれたものを使っているので、作った人間(親父)が「このナイフはこういう用途で使って欲しい」という事がダイレクトに分かります。
また、私も「こんな感じで使いたいからもう少しこんな感じの造りにして欲しい」といったことを要望できる立場でした。
(現在親父はナイフを造っていません。高齢になってしんどくなったのと、メインで使っていたATS34という鋼材が廃版になってしまったためです)
一昔前は職人さんと道具と使い手とは、そのような関係だったのだと思います。
砥ぎ始めはそんな事を思うのですが、いつも砥ぐことに集中しだすと違うことに想いが移ります。
「人類が誕生して以来、狩猟を行わなくても生きていけるようになったのは0.2%にも満たない短い時間だというけれど、火を使う事と同じくらい、刃物を使うという事は人類史上の一大事件だったのではないだろうか…。
狩猟をして獲物を捌いたりする道具として刃物は生まれ、そして戦うための武器となり、日本刀のような芸術と言えるものにまで昇華した…。
そこにどれだけの職人や使い手たちの想いがあったのだろう…」
砥石の上に刃先を滑らせながらそんな事を想わずにはいられません。
お亡くなりになったC.W.ニコル氏が「その人の持っているナイフのメンテナンス具合を見れば、だいたいどんな人間か分かる」と言っていたのを思い出します。
(いや、私自身止め刺しをして血だらけのナイフの手入れをせず、次の猟の時にナイフを抜くことも出来なかったという経験があるので自分に対する戒めのためです)
「いいか、最後に頼りになるのはナイフだ」
自分で使うためのナイフを自ら作っていた親父の言葉。
猟銃は少し泥を噛んだり部品が欠損したりするだけで撃つことが出来なくなりますし、弾自体不発の可能性も否定できません。
自分が実際に狩猟をするようになって実感できます。
スパスパとコピー用紙が切れるくらいになって砥ぎ上がり。
「はぁ~、完成! 気分すっきり!!」
次に山で使うための準備や「切れ味を取り戻すため」という道具本来の手入れの意味合いも強いのですが、刃物を砥ぐと相当に集中することと、道具に対する安心感が得られるためか「心が整う」気がするのです。
ちょっと早いけど、次の猟期も頑張ろうっと!!
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(カッターナイフはとてもよく出来た刃物だと思います。真面目に…)
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惚れ惚れするような作り込みに魅せられてしまいます。
この刃先だと皮剥きもやりやすそう。
大物猟ならこれ一本で十分な感じですね。
こんなの作ってみたいな♪・・・無理だろな(-_-;)
お父様のナイフとは…羨ましいです。
今でこそ狩猟仲間も増えて、皮剥から頭落とし、刺し止めまで10種類以上のナイフを持ってますが、なじんで何時も使うのは2~3本です。砥石も荒めから仕上げ迄5段階位使います。上手く砥いだ時は凛として背筋に冷たい風が吹く様な、ゾクッとします。
暇つぶしにやらねば……暇がない。
(^_^;)
物造りは大好きなのですが、理想形がすでにあると中々動けません(笑)。
変わりはありませんか?
おお、キッチンペーパー!!
確かに汚れたタオルは洗っても洗ってもきれいにならず、専用のものにしています。
キッチンペーパー、今度試してみますね♪
鉈とか、小出刃です。
元々矛先は土佐の打ち刃物を使っていました。
「晶之」さんも、腕の良い鍛冶屋さんですよね。
刃物は使い方や好みで変わるので、「ベスト」ってないのだと思います。
「よりベストに近いベターを求めて」でしょうか。
私の場合は恵まれ過ぎだと自分でも感じます(笑)。
刃こぼれが大きい時は、荒砥で真っ直ぐ潰してしまって、それから刃を付けた方が早いと思います。
まずは完全に体を治してくださいね。
カールくんが悲しみますよ!
(自分の技量が刃物に追い付いていない)
精進したいと思います♪