「ここのもそろそろダメかな」

タラの芽を採りながらそんな事を思います。
タラの木は日当たりのよい場所を好んで生えますが、他の背丈の高い植物が茂ると陽当たりの生存競争に負けて枯れてしまいます。
ここはたくさんタラの木が生えていた場所なのですが、竹が進出してきてタラの木が枯れ始めていますね。

こちらは私が狩猟を始めた頃はススキやセイタカアワダチソウの草原で、少しは人の手も入って年に数回草刈りが行われていましたが、今は完全に放置されて雑木林になりつつある場所です。

「イノシシのカセギ(エサを求めて地面を掘り返した跡)ばかりだな。ここにも3年前くらいまでタラの木がたくさんあったんだけど…」
同じ場所に10年も通って写真を撮っていると、そのあまりの変わりように驚く事がしばしば。
特に竹はタケノコという形で地下茎からあっという間に大きく成長するので、周辺の植物相の変遷ぶりが著しいですね。
2年ほど人の出入りが無いと瞬く間に草原が竹林になってしまいます。
竹の寿命は10年から20年といわれていて一般の樹木よりもかなり短いですが、新しいタケノコが次々と生えてくるので竹林の中はどんどん密になって行きます。
一昔前は倒れた竹や生えすぎたタケノコはきれいに取り除いて管理されていたんですが、近年は管理も行き届かなくなって、まるでジャングルジムのよう。
そうなると倒れた竹にツタが絡まって天然の屋根のようになりますし、イノシシの恰好の寝屋になります。
晩冬から春にはタケノコ食べ放題という絶好の環境でもありますしね。
イノシシなどの有害鳥獣が増えた原因は、山菜採りや山芋掘りに興味が無くなって誰も山に入らなくなったせいか、少子高齢化のために山の中の農地まで手入れが行き届かなくなったせいなのか、国内材木が価格の面から外材に押されて林業が衰退してしまったからかは分かりません。
以前にも少し書いたのですが、それらの全てが原因でしょうし、要因も複雑に絡まり合っているのでしょう。
しかし植物相の大きな変化(単にほったらかしの状態にして人間と野生動物の境界が曖昧になったこと)が、今の野生動物の過剰な増加と農業被害の大きな原因です。
これは断言できます。
それが「自然の姿」だと言われればそうだと思いますし、「環境の衰退」だと言われればそうだとも思います。
私のような趣味のハンターにとっては「たくさん獲物が獲れる」ということは、正直好ましいことです。
また、狩猟に行って農家の方から感謝されるということも多く、そのこと自体は嬉しくも思います。
しかしニュース等で度々「有害鳥獣が増えた」「高齢化によるハンター人口減少が原因」なんていうことばかりが叫ばれるとウンザリもします。
それ(ハンターを増やすこと)はあくまで対処療法であって、根本的な解決策ではないからです。
まさに木を見て森を見ず!
そして行政の対応もまずいですね。
そうは言っていられない差し迫った現状もあるのでしょうが、「有害鳥獣捕獲報奨金」なんて名目で多大なる税金を投入するよりも、地域の就職難に喘ぐ若者やシルバー人材を有効活用して草刈りや森林の整理を継続的に実施する方がよほど有効な気がするのは私だけでしょうか?
それにより過疎化が進んだ地域にも雇用が出来るし、一部のハンターによる醜い争いごとも無くなります。
有害鳥獣対策として個体数を減らすことは必須ですが、ヤル気のあるハンターは報奨金なんて出なくても実際にたくさん獲りますしね。
じゃあ、結局はどこにその問題があるのでしょう?
私のような一個人が言う事ではないのでしょうが、誰も「あるべき姿」を示せていないことが今の狩猟行政の大きな課題だと思うのです。
有害鳥獣問題の着地点とそこにたどり着く方法を明らかに出来ていない。
なので色々な立場の人が各々の言いたいことばかりを言い、マスコミはおもしろそうな一部分を切り取って伝えるのみ。
縦割り行政の弊害で各省庁によって言う事も異なりますしね。
まあ、そこら辺の事を書くと長くなりすぎてしまうので今回はここまでにしておきます。
各方面の方々、過ぎたる口をお許しください。
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遊んでばかりいたので、自宅裏の竹や木が
伸びてきてます。
少しずつ手入れしてます。
2年の間に石垣が崩れて田も畑も草ぼうぼう。一部は流入した土砂で埋まり再開は無理と思いました。
自分が現地に居れば微力ながら再開に向け協力できるのですが...
もう植物は物凄いスピードで成長するし、切った幹は重たいし、枝葉を処分するのも大変だし…。
放置する気持ちはよ~っく分かりますよ(笑)!!
特に土砂崩れなどがあった場合は、放置されて原野に戻る感じです。
それくらい土地が荒れるのは早いですね。
厳しい言い方をすると、これは国家に対する背任行為。
「だってこんなにシカが増えると思わなかったんだも~ん」では済まされない問題なのです。
ここまで山の状況が悪化してしまうと・・・
「もう手遅れではないのか?」とさえ思ってしまいます。
ハンターが「片手間に」ではもう無理。
認定捕獲のような小手先の対策ではなく、じゃんさんの言うようにもっと抜本的な対策を考えるべき。
それに対して大日本猟友会も、もっと積極的にアドバイスをすればいいのに。
八方美人じゃダメですよ。
言う時はビシッ!と言わないと。
ちょっと言い過ぎたかな?
公務員の方は3~4年前後で転勤がありますしね。
仮に種が絶滅するともっとひどいバッシングを受ける事は間違いないことなので、正直な話「事なかれ」なんでしょう。
例えば一年中猟期にすると狩猟圧が強くなり、獣にもプレッシャーを掛けることになるし良いと思うのですが、「藪が深くて誤射なんか起こっても責任取れない(取りたくない)」となるのでしょうねぇ。
報奨金出して、増えて獲りやすくなって動物の数を自慢して・・・
分母をいかに減らすかが課題なのに、当地では捕獲数の増加だけが手柄だと思っている節もあります。イノシシなどは、もはやヤマドリ獲るより簡単ですが、雪の山を歩く人も殆ど居らず、時々獲ったら地元住民に盛大にその手柄を宣伝する始末です。その何十倍も数が居るというのに、自分の成果を誇張するために正しい状況を伝えきれないのも、行政が動きにくい原因かもしれません。
何と言うか、現場の不理解 行政も駆除隊側も、山を見てい居ない気がします。捕獲された動物の数しか見ていない・・・・これでは、いくら税金を投入しても成果は上がりませんね。
なんだか、駆除とか言うのが嫌になってしまいました。
獣が増えすぎて人に害をなしているのなら、
「増えすぎたことが問題なのか」
「人に害をなしていることが問題なのか」
がハッキリ分かりませんし、「増やさないこと」や「人に害をなさないこと」の対策が取られていませんよね。
まず増やさない環境作りがないと「獲っても獲っても増えるだけ」と思ってしまいます。
それでも損得抜きに農家さんのために頑張るしかないですしこちらもいろいろありますが頑張ります(^^)私じゃなくてダンナさんがですが笑
なので対処療法に回らざるを得ない。
こちらでも色々あって、純粋に「趣味としての狩猟を楽しみたい」と最近は思うようになりました。